1、やばい。どう考えても私の方が強い。
ラブコメをイメージしてます。
やばい、どう考えても私の方が強い。
そう確信したのは、王子が稽古をつけてる時の見学をした時。
私ならあそこでもう2手3手追撃をできるし、相手の攻撃をかわした上で次の攻撃をさせないように剣を折りそうだ。
そもそも、相手からの攻撃を受ける余裕なく、攻めいれそう。
でも、だめ、だめなんだよなぁ。
休憩の合図の後、王子が駆け寄ってくる。
「メイリーンがそこで、見てくれてるってだけで、凄く力がわいてくるんだ」
天使の微笑みを浮かべた王子が楽しそうに私の隣に座る。
メイリーンというのは私の名前。
「ねね。メイリーンって『戦争の英雄王』知ってる?見たことある?
あのね。僕メイリーンの国の英雄王を憧れてるんだぁ。3年前1人で大国を相手に戦術を巡らして大勝利!あれ何回聞いてもかっこいいよね!
10倍の兵力差なんてもろともせず、果敢に攻め要り、
相手が反撃を行えば、その手は全く通じない、すでに対応も12歳の頃に考案済みだと相手の攻撃を一切無効にした英雄。
しまいには単騎で攻めて、怪我ひとつなく大将の首までとってきたって話だよね。
「もぅ全部あなた一人でいんじゃね?」ってやつ!
かっこいいなぁ。すごく憧れちゃう!
僕も強くなって、メイリーンをいつでも守ってあげるからね。いつまでも僕に守られるお姫様でいてね」
にこにこわらって、戦争の英雄王について語る。
「嬉しいです。シエル様に守って頂けるなんて……夢のよう」
どきどきしながら、そう言葉を返すと、
休憩が終わる合図が聞こえる
「あ、もぅいかなきゃ、後1時間、メイリーン。僕に付き合ってもう少し見ててくれると嬉しいなぁ」
と、去っていく姿をみていると。
「そうだ!英雄王もみてみたいなっ」
と、一瞬振り返る
その笑顔に呼吸がとまる。心が踊る。
好き過ぎて、とてもつらい。
だから、なんだよね。
死んでも言えないわ。
私がその、『戦争の英雄王』だと