最強の腐肉、爆誕。
※この物語はフィクションです。
……………腐臭がする。
………………化物の鳴き声が聞こえる。
……しかし、今となってはその雰囲気が心地よい。
「我らが王よ、突撃の命令を」
そう、俺は…………
……………この死体共の支配者だ。
─1ヶ月前、熱帯雨林の致死性のある寄生虫が蚊の媒介によって爆発的に全国に撒き散らされた。
現時点の世界の人口は約50万人。
残された人類はいくつかの団体に分かれ、現存する人類の保護、寄生虫の研究に勤しんだ。
その結果、寄生虫の恐るべき能力が判明した。
──宿主となる人間の肉体を支配し、行動することができる。
すなわち、歩く死体「ゾンビ」となる。
………………この身体には既に虫が入っている。
もう長くない。
……はぁ、これで俺、島津隼斗の17年の
人生も終わりか。
「…………もう少し、生きて………」
いたかった。その一言を発声することもなく、目を閉じた。
───一体、どのくらいの時が経ったのだろう。
俺は死んだ、なのに意識がある。あの世だろうか。
ふと視線を下に向けると、
腐った人の左腕がぶら下がっていた。
「ッ!?」
ソレは確かに、俺の肘から伸びていた。慌てて腕を振ると、
異形の腕は千切れて前方へ転がり落ちた。
「ひぅ!?う、腕がっ」
四肢のひとつが無くなった喪失感が俺を襲う。
が、2秒も経たない内に肘から血色の悪い白い腕が生えてきた。
「………は?」
腐った腕、異常な回復力。
それはまさしく、ゾンビだった。
──今わかっていることは、俺がゾンビになった事くらいだ。
しかし、何故意識があるのだろうか。
ゾンビってのは皆こうなのだろうか。いや、仮にそうだとしても
おかしな点がまだある。
この異常すぎる回復力……
流石に奴等でもこんな一瞬に傷は癒えない。
それに、失った四肢までは回復しない筈だ。
………とにかく、ここから移動しよう。
わからないことが多すぎる。それに………
「そういや、2日間何も食ってなかったな…」
そう、空腹である。
この世界において食物を確保するのは
非常に難しい。外で1人の場合は尚更だ。
まあ、不幸中の幸いとでも言うべきか、
ここは元都市部だった。
寂れたコンビニなんか
すぐに見つかるだろう────
グイッ、ツンツン
「あ?」
不意に後ろからつつかれた。
振り向くと、俺の胸あたりまでしかない少女が立っていた。
──生存者を見たら保護せよ。
この世界のルールだ。もっとも、適用する時が来るとは
思わなかったが。
だが、ゾンビの俺が生存者を保護しても結果は見えている。
恐らく、数日も経たないうちに寄生虫が伝染るだろう。
そんな俺の考えを察したのか、手元にあったプラ板を取り、
手頃な石で文字を書き始めた。
そして完成した傷だらけのプラ板には、こう書かれていた。
『私も 同じ』
少女は、文字を見せながら微笑んだ。
初めまして!
カ〇コンさんの某バイオショックゲームが
大好きな暇人、Vectorヶ原です!
………この名前長いな。Vヶ原って呼んで下さい。
趣味で書いてるので次出すのが遅くなると
思いますがよろしくお願いします!!