002 歴史の欠片
【アルト山脈】で二分された広大なその大陸は、【大陸リヒト】【ドゥンケルハイト大陸】とそれぞれ名付けられている。
約二千年前、この大陸を平定した【覇王リュストゥング】は、自らの子にそれぞれ領地を分配し、子等はそれぞれを国と成した。
およそ七百年前、【盾の国】の北方にそびえるアルト山脈向こう側【ドゥンケルハイト大陸】より魔王が顕現し、大陸を蹂躙せんとした。
多くの戦士が命を懸け戦いに参じ、ギルド【プリズム】が討ち取ることに成功し、ギルドの名前から【プリズマー】として、讃えられた。
ただ、多くの弊害も起こった。
人々は【プリズマー】たる面々を英雄として讃えた。
そこに便乗する者も現れる。
――我こそは【プリズムのメンバー】也。
魔王討伐後、当時七人という小規模ギルドが飛躍的に大きく拡大成長するものの、名声目当てに参入し栄光に驕る者や、また騙る者も多く、
その状況に嘆いた魔導師がメンバーを一掃し、その後禁術を用い、【世界】に対して、ひとつの呪い―禁術―を施した。
―――今この時を以て、何人たりとも【プリズマー】を騙らざるべからず
以降何人たりとも『プリズム』メンバーであることを騙る事を許さず、また後世に至ってもギルド名に掲げることを禁じた。
それは【プリズム】オリジナルメンバーらは除き、騙り狼藉を働く者、英雄を夢見て遊ぶ子供達のごっこ遊びにまでその影響は及んだ。
【何人も騙ることはできない。】
そこに着目した者もいる。
各国の王たちは、複数の王たちの依頼を解決した者に、英雄または賢者としての称号【プリズマー】を贈る制度を確立させた。
設立以来、この称号を手にした者は数少ない。
ただ人々は夢を見る。
自分はいつか【プリズマー】になるのだと―――
2018.06.28. 初稿
2018.06.29. 若干加筆