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IF人工未知霊体を好きになったらば  作者: はちみつなめるぷー
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初心者向けなやつから

 俺はセツに言われたとおり、あの部屋でサユリと一緒に悲しみを探していた


「サユリ氏、悲しみってわかるか?」


「悲しみでござるか」


哲学的でござる!


質問が雑すぎたか


「セツがこの部屋にある悲しみを探せって言うからさ」


バンドラの悲しみさえ受け入れられなかった俺は、なるべく初心者向けな物からお願いしてみた


「悲しみなら拙者がおすすめするのはこれでござる!」


サユリが手渡してきた箱を見てみる


トゥルーディアーズ


アニメのようでござるな!


なになに、トゥルーディアーズとは


胸に秘めた夢、希望、憧れ、胸に秘めた迷い、悩み、苦しみ


彼女の流す、ホントの涙


彼女達が心に秘める闇を取り除き、心を開かせることができるのか


全13話か…


「ゲームもありますぞ!」


などとサユリが言うが、とりあえずアニメから入らせてもらうでござるよ


やべい、なんだこのアニメ


開始早々OPから流れてくる美しい歌に、俺は鳥肌が立った


主人公はどこにでもいる絵本が好きな普通の男子高校生


なるほど、スクールラブのようだな


少女達に秘められた闇を取り除き、物語も終盤に差し掛かり、ついに泣けない少女の謎が明かされる



「私はまだ飛べないから、歩いていく」



6時間後、俺は心に大きな悲しみを負っていた


「初心者向けでって…言ったのに…」


ご飯の時間になっても涙が自然に溢れてくる


泣きながらご飯を食べる俺を皆が不思議そうに見てくる


一方セツは


(まだまだ足りない)


嘘…だろ…


眼鏡をキラリと光らせながら無情にもそんなことを言うのだ


布団の中で泣く俺をセツが慰めてくれる


しかしトゥルーディアーズ、これは素晴らしいアニメだが俺には刺激が強すぎた


心の傷が回復したらゲームも創造主の他の作品も存分に楽しみたいものだな


しばらくは、悲しみを受け入れることができそうにない



 数日後


なんとか立ち直った俺は次の悲しみを探していた


「次はこれにするでござるよ!」


そう言ってサユリが持ってきた箱を見る


中には白いディスクが入っていた


どうやらゲームのようでござるな!


えーとなになに、加奈子いもうと


病室で眠る妹や家族との絆を描いた恋愛ゲームか


たいせつな人が、います…


「俺に妹属性は無いんだが…」


何やらポータブル機でプレイするらしい


数時間後


この小さな画面の中に広がる世界に俺はどっぷりハマっていた


俺のことが大好きな巨乳とか最高すぎんだろ


シュイーン カシャッ シュー


ところどころサユリの指示が入り、巨乳から妹ルートへと誘導されながらも、なんとかクライマックスまで辿り着く



「一心同体…だから、ね?」



涙が…止まらないよ…


プレイを終えた俺はサユリに泣きついていた


「初心者向けでって…言ったのにぃ!」


号泣する俺を優しく抱きしめてくれるサユリ


俺は妹のことを思い出していた


カナエ…元気にしてるか


お兄ちゃんはカナエのこと、もっと笑顔にしてあげたかったよ


しかし、加奈子いもうと、これは素晴らしいゲームだ


家族を大切にしたいと思える最高の作品だと思う


俺は心の底から優しさが溢れてくるのを感じていた


(まだまだ足りない)


マジかよ


もう勘弁してください!死んでしまいます!

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