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IF人工未知霊体を好きになったらば  作者: はちみつなめるぷー
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かめへんよ

 気付いたら自室のベッドに寝ていた


潰したはずの俺の目は、セツがとんでもパワーで治してくれたらしい


カオリもそうだがセツは一体何者なんだ


状況を確認すると俺のベッドにカオリが腰掛け、ベッドの奥、壁側にはチコちゃんが横になっている


どうやら二人で看病してくれてたようだな


「愛を感じます」


ベッドの横に座ったカオリが優しく抱きしめてくる


「目を潰すなんておろかものですか」


右隣、壁側に横になったチコちゃんが富士山みたいな口をして言う


「ごめんねチコちゃん、罪深い俺を許しておくれ」


「しかたないですね、望さんは横を向いてください」


こうらごっこ


どうやらカメみたいに背中にくっついて眠りたいらしい


俺はチコちゃんに背中を預けた


「今日のところは…これくらいにしといて…あげます…スヤァ…」


チコちゃんは俺の無事を確認して、安心したのか寝てしまった


穏やかな顔で眠るチコちゃんを見て微笑むと、カオリは俺の部屋から出て行った



 左腕に残る禁断の果実の余韻を感じていると


(気がついたようね)


セツが脳内に直接話しかけてきた


(すまんね、迷惑かけた)


別に、と言うセツには色々聞きたい事がある


(カオリは一体何者なんだ?)


(ウェヌスの化身)


それはもう文字通り痛いほど痛感している


カオリの存在は思春期高校生には刺激が強すぎて、自分でも意味不明な行動をとってしまうのだ


あんな強烈なタルパは、俺には具現化できんぞ


(望の父は、深い悲しみを背負っている)


(なにその世紀末覇者を倒した人みたいなのは!)


そんなの俺の知ってる親父じゃない


いつも笑って、大きな手で俺と妹の頭を撫でてくれる親父を思い出していた


家は基本、ご飯の時にはテレビを見ない


お茶碗、箸の持ち方、躾は厳しかったが優しい親父だった


俺が部屋に引きこもってても何も言わずに育ててくれたな


一体、親父の過去に何があったって言うんだ


(あの部屋で悲しみを受け入れなさい)


あの部屋には、人の一生では知る事のできない悲しみが詰まっている


創造主の創る悲しみの世界は、時として人に大きな影響を与える


過去にコヨリを失い、俺は悲しみを知ったつもりでいたが、セツはまだ足りないと言うのか


コヨリを思い出すと胸が痛い


隣で天使のような顔で眠るチコちゃんに癒されながら、俺は眠りに落ちていった

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