拷問器具とドM吸血鬼
健全で面白いシュールな日常を目指します。
流血表現は多々ありますが内臓はとびだしません。
朝、目覚めると隣に冷たくなった彼女が横たわっていた__。
まあ、鉄だから当たり前だけどね。グッモーニン!僕は、ジャック・ウォーカー。どこにでもいる「不死族」不死族とは、主にヨーロッパ地方中心に伝わる、蘇った死者の伝説。平たく言うと「吸血鬼」ニンニクと十字架が苦手なモンスターだよ。いろいろなイメージがあるかもしれないけど、棺桶で寝ないし帽子をかぶれば日光は平気なんだ。
「よいしょっと…」
今起こしたのはアイアンメイデンこと鉄の処女、拷問器具だよ。内部には太い針が一面にびっしり貼り付けてあって、針には使い込んであることを物語る血錆がついている。月に一、二回お手入れしないと針が折れちゃうんだ。先祖の遺産は大切にしないとね。
「今日も綺麗だね、さて朝食にしようか」
執事もメイドもコックもみんな居ないから僕が全部やらないとね。朝食ができると大きな時計のある食堂に運ぶ、今日は二人分、僕と彼女の分。彼女は少食だからいつも残しちゃうけど、重たい彼女を引きずって傍らに置く。僕は、審問椅子に座る。椅子についているトゲが全身に刺さる。至福の一時だ、お尻に感じる痛み、背中にも感じる痛み、そして彼女との楽しい食事。死んでしまいそうなほど幸せだ。
「ごちそうさま」
朝食が終わると食器を片付け書斎へ向かう。本棚から何冊か取り出し机に置く、本を読む前に親指ねじ締めに指を入れ、締め上げる。ああ、この感じ。どんどん指先が赤く黒くなってる。この痛みも最高だ。
昼食を食べ終わると彼女とスコールド・ブライドルちゃんとファラリスの雄牛君と一緒にアフタヌーンティーを楽しみながら世間話をする。スコールドちゃんが「最近、私を使ってくれなくて寂しい」と言ってたから使うと彼女が拗ねたようにそっぽ向いてしまった。それに気づきスコールドちゃんを外して彼女をぎゅっと抱きしめる。するとファラリス君が冷やかしてきたので小突いた。和気あいあいとお茶会を楽しんでいると食堂の大時計がボーンボーンと大きな音を立てた。振り向くと、時計の針は午後七時を指していた。
「そうだ!このままお食事会にしましょう」
と、スコールドちゃんが提案した。みんなはそれに賛成して夕食を食べる。なんでみんな少食なんだろう…あ、物だからか。食べ終わると二人を帰らせて僕と彼女の二人きりになる。
夜、僕の寝室に彼女を連れ込む。彼女の留め金を外すと綺麗に鋭く輝く太い針が見える。それを見て僕はうっとりする。なぞるとがたっと揺れた。針の先端に指を置き指先に力を入れるとぴりっとした痛みと同時に血が滴った。思わず口角が上がる。
「もう寝ようか」
と誘うと彼女が頷いた。僕は彼女の中に入る。針がぐさりと刺さり激痛が走る、扉を閉めると内側についた針も刺さる。普通の人間なら激痛で叫ぶと思うけど僕は違う、彼女の温もりを感じて笑いがこみ上げる。死んでしまいそうなほど幸せ、高笑いするほど幸せ。動くとぐりぐりと針が深く刺さる。たまらなく幸せで気持ちよかった。この状態がずっと続けばいいのに、そんな事を考えながら眠りについた。