望まない闘い
二人が洋館の中へ入ったその時、悲しい声が聞こえた。
<Gelecekklz makyaj...>
すると瞬く間に屋根の辺りから紫色の光線が二人に向かって走ってくる。
「・・・っ!!」
二人が目を閉じた時。
「危ないっ!!」
何処かで聞いた声が、二人の耳に届いた。
「・・・みやびちゃん・・・?」
鎌を両手で持ち、光線をはじいているその姿は、紛れようもなく蒼原みやびその人だった。
「・・・何ぼーっとしてるんですか。ほら、変身しないんですか?」
「・・・余計なお世話ですこと。」
レイラはつんと横を向くと、ギアに姿を変えた。
「凛。」「あ、うん」
<Ragazza Futuro, rifacimento...>
凛はいつの間にか覚えた呪文を唱え、ギアを装着した。
その頃、光線により空いた穴から、黒い髪の少女が降りてきた。
「・・・・っ!!」
その姿に、みやびは持っていた鎌を落としてしまった。
「・・・ほ・・・た・・る?」
そんなみやびにも容赦なく、少女は攻撃を仕掛けてくる。
この少女は、間違いなく風鳴ほたるなのだった。
「ほたる?・・・ウソですよね・・・?だってほたるはこんな人じゃ・・・」
「・・・みやび。貴女は私に何を期待してるの?」
「・・・え・・・?」
「私は敵。殺さなきゃいけない」
「でも、そんなのっ・・。」
「私にとっては貴女も敵。殺さなきゃいけないの」
中空に手を伸ばし、刀をつかみ、ほたるは空へ舞い上がった。
みやびはまだ戸惑っているが、二人のほうへ振り返るとほたるを追いかけた。
ほたるが刀を振るうと、大量のHERUDAが地面に現れた。
「・・・邪魔者はこれで排除する」
抑揚のない声で、ぽつりと呟くほたる。
レイラと凛は、地面に現れたHERUDAと戦っていた。
それから、一時間程二人は戦っていた。
交錯する刃の音の中、みやびは決めた。
(・・・私のせいでほたるは・・。だから・・)
「少しでもほたるを・・止めてみせるっ!!」
三秒程目を閉じた後、みやびは口を開いた。