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歌えなくなった翼

「・・・おわったぁーっ!」

凛は、背伸びしながらゆっくり学園から出てきた。

まだ床は湿っているが、空には虹がかかっている。

そうだ、と凛はつぶやいた。レイラとの約束を思い出したからである。

「・・・ここ、だったよね・・・。」

家とはかけ離れた、豪華な装飾に、凛はドアを叩くのも躊躇った。


「あら、凛じゃありませんの。きていたのね」

背後から、鞄を両手でもったレイラが来ていた。

「あっ、レイラ!」「どうです、これ。行きましょうよ。」

レイラは凛の言葉も聞かず、誇らしげな顔で二枚の紙を指で挟みひらひらさせた。

「あっ!!それ、仮面少女アミちゃんの・・・」

「ライブとやらのチケットです。なにやら人が歌って踊るとか・・・」

レイラはライブという言葉の意味さえうろ覚えだ。


「でわ早速。」「うんっ!」

レイラは指をパチンと鳴らした。すると、黒いスーツの男達が車を運転してきた。

「....え?」「どうしたのです?そんなにぼろぼろなんですの?」

凛が驚くのも当然、車内はバスよりも高く、シートは真っ白い。

車内はいつも明るく、天井にはシャンデリアが飾ってあった。

「・・すごいなぁ・・・。どこで手にいれたの?」

これ以上レイラに突っ込むと、収拾がつかなくなるので、半分苦笑いをしながら凛は言った。

「さあ?母様がくれたものです。海外では易いのでは?」

レイラは、ファンがチケットにどれだけ苦心しているかは分からないらしい。


それから一時間と、少し経った頃。

凛とレイラは、一番前の席でライブをみていた。

「・・・ありがとうございます!次の曲は・・・」

仮面少女の声が響く。

「良いですわね、凛。こんな事も・・。」(バタリ・・・)

会場がざわついた。それも、少女がステージで倒れこんだからだ。

「・・・はぁっ・・、はぁっ・・・。」

少女は何もいわず、ただ苦しそうに口を明け閉めするだけだった。

長い銀髪で隠れていたが、少女の頬は濡れていた・・・。


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