運命の、はじまったとき。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
学園、最初から遅刻しちゃったよ・・・。
彼女、二宮凛は、そんなことを考えて、冷たい雨の中を走っていた。
(立派な門だなぁ・・・惚れぼれしちゃうよ~)
静かであった。誰もいない、静かすぎる門。
力を込めて押して見ると、ギギィ・・・と古い門が音を立てて開いた。
(タッタッタ・・・)(ピチャピチャ)
靴が濡れた床を叩いて、ピチャピチャと音がした。
凛は、小学校とは全く違う学園の校舎に目をとられて、前を見ていなかった。
(ツルッ)
「うわっ!?」
スニーカーが、床を擦った。
次の瞬間、凛は頭から転けていた。
「いったー・・・っ」「大丈夫でございますか?」
ふと、凛の頭上で雨が遮られた。
見上げるとそこには、薄く艶やかな、長い髪をした、優しい目の少女がいた。
「あ・・・あなた、あの時の。」「・・・?貴女様、ではないんですの?」
それは、この一ノ瀬学園創立者の孫であり、一ノ瀬家の令嬢、一ノ瀬レイラだった。
凛がこの学園に入れたのは、レイラの後援があったからだ。
レイラ曰く、面白い所が気に入ったらしい。
「やはり凛、あなたはおもしろうございますわね。本当に面白い。」「・・・はい?」
「今日、放課後あちらの家にきてください。待っておりますわ、おほほほほ・・・。」
レイラは北にあった、古くも豪華な家を指差していった。