もう、なんてことを!
なんてことを、してくれたんだ!おねぇ!
「おーねぇ。」
びくりと、肩が震えるおねぇ。
「そ、そーら…」
バレたじゃないか。すべて、すべて!
アイドル一団は、私の正体に気づいた。
「やっぱり、そっくりだよ」
「君の名前、そーらちゃんかー」
にたり、口元をゆるめる紅野梁を横目に、
「おーねぇ。」
「そういうこと、バラちゃんじゃなくてそーらちゃんていうんだ」
まったく、空気のよめていない葉山曜は無視。
「そーら、…あの、ね…ごめんね!」
「言った。私、バレたくないって!」
「お、怒らないでぇ」
「…ん?怒ってないよー、ゼンゼン」
「怒ってる!そーら、怒った時、絶対おーねぇ。ていう!」
そっか、そっか、いつもは略しておねぇだもんね。
「ふぅ、まぁいいや。で、おねぇは何をダメだと?」
「婚約者!婚約者なんて、もうこれ以上いらないよね?」
「……は?───こ、ん、や、く、しゃ?婚約者?!」
「え?!」
アイドル一団は驚く。
「桜実ちゃんが、令嬢だということも驚きだったけど、婚約者?」
紅野梁が、呟いた。
「誰の?おねぇ」
「そーらの?」
なぜ、疑問系?
「そーちゃん、おーちゃん!可愛いmychildren!」
無駄に発音のいいパパンの登場。
「ローズぅ。今日も、可愛いなぁ…。─結婚しよ」
っち、面倒なやつまでいやがる。
「そーちゃん、おーちゃん!あれやってぇ!」
空気よんで、ママン!
「あ?結婚?そーらちゃんと?」
つうか、紅野梁!私、許してないから!名前!
「そーだよ、そう!ローズは俺の!」
「ああん?」
「桜実ー、令嬢だったんだ!へえー」
空気、グダグダ!
しょうがない、ママンのキラキラ目線に負けた私は
「おねぇ、いこ」
「う、うん」
オーケストラのいる方向へ、歩みを進めた。