えー、帰ります!帰して!
「君が、沢原財閥のバラちゃん?」
ちげーよ、バラってよぶなよな!
と、心で叫ぶ。
「あら、葉山家の坊ちゃんだわ」
隣のマダムが、そっと呟いた。
「…初めて見ました」
パーティーで。
「……テレビ見てないの?」
「…いえ、パーティーで。」
「そうね、珍しいものね。葉山家の坊ちゃんあんまり忙しいらしいからねぇ。そろそろ、アイドルは卒業じゃないのかしら」
それも、そうだ。彼、一人っ子だし。
「そろそろ、婚約者あてがわれると思うのよ」
「……なるほど、私はいらないんですけど」
「ねえ、ほったらかし?」
「「…あ」」
マダムとの話に夢中になっていた。
「あ、えと、私になにか?」
****
急にどよめき。
走り込んでくる、数名のせいだった。
その中に、見しった顔。
というか、皆しってるぅ!!
「そーら!だめよ、絶対!」
「桜実?!」「桜実ちゃん?!」
あれ、桜だ。沢原の桜だ。
って、聞こえる。
私たち、姉妹はある意味有名だ。
沢原の華と呼ばれてる。ま、美少女だから。
私は、不本意なんだけど。おねぇは、無自覚さんだから気づいていないし。
というか!アイドル一団連れてこないで!
「そーら?もしかして、君、」
いやぁ!紅野梁、気づいてる!
私だと、気づいてる!