つらいって、正直。
にっこり、こちらを見やるびっだんし!そう、美男子がこちらを見てる。
は、入ればいいのに。
「…私、帰る」
おねぇが、ボソリつぶやいた。
「ええ?!私生け贄?」
「…違うよ、うん。違うの、そーら、信じて?」
いや、信じらんない。私、完璧贄じゃん。
「ん、分かったよ。分かったから、んな顔しないで」
「うん、ごめんね。…私、苦手だから」
本音、でたね。
****
「久しぶりだね、ローズ」
「そうでもないよ、うん。」
この前、会ったじゃん。ええ、2日前。
「………久しぶりじゃん」
この、美男子。我が、従兄弟。時雨華黒、それが彼の名前。年齢、16歳。高校一年生な彼は、アイドル顔負けの美男子っぷり。血筋か!!
「え、あのさ、うん。おねぇ帰ったんだよね、私も帰るよ」
「…だめ、帰るな。」
がっしり、腕を捕まれた。
くぅ、もう、どうとでもなれぇい!
彼、従兄弟だけど、変わってる。いや、関わりたくないくらいの変。変人。やめてー!
「ローズ、俺が、18になったら結婚しような!」
ほら、おかしいって。頭、おかしいって。
「従兄弟でしょ、いやだよ。」
「従兄弟は、結婚できる!愛し合える!」
いや、いや、おかしいって。
「ローズ、結婚しよう…絶対にな。」
ニヤリ、口角をあげる美男子。
なんで、だよ。つらいって、完璧生贄じゃん。
おねぇ、そっくりなのに、何で私?!
「おねぇは、」
「あ?チェリー?んな、ヤツ願い下げー。俺は、ローズがいいんだって。音楽性も、なにもかもが、運命共同体だ」
チェリー、おねぇのことだ。桜の実は、さくらんぼってことから来てる。コイツのせいで、私のあだ名がローズとかになるんだ。彼、おねぇはただの女としかみてない。
従兄弟ですらない。ムキー!おねぇ侮辱すんなや。
「…あ、ごめん。チェリー、ローズの姉だったね」
いや、その前に従兄弟ですって。
「音楽やったら、仲良くしてやんのにー」
そう、彼。私と一緒で音楽バカ。
「あー、でも、ローズは可愛いしギターうめぇし、可愛いし、可愛いし!結婚したい!早くしたい!」
途中から、変だって。
「ま、チェリーが音楽やっても、ローズの可愛さには劣るな!」
「…は、どうも」
「ローズ、ローズ、ん、待ってろ。後、少しで結婚だ」
しつけー!結婚するわけないし!!
従兄弟!!従兄弟との結婚なんて、考えらんないって!
「一緒に、ギターの腕あげような?あー、楽しみ!結婚生活」
おいっ!妄想膨れに膨れてる!爆発しろぉ!!
従兄弟との会話、正直いって、つらい。