なぜですか?
なぜですか?
女神様、私、やらかしましたか?
紅野梁、危険なヤツ。ええ、もう、ほんとに。
おねぇ、目が!目がぁ!
テンパっちゃってるよ、いやいや、テンパらないで!
私をたすけてよ!
「む、む、む、」
「……かわいーね、キミ」
くぅ!どうして!
おねぇと、おそろいにぐるぐる巻いた髪に指を絡ませる紅野梁。た、たすけて…
無理無理無理無理無理無理無理無理!
「わ、わ、か、返せ!私の!」
おねぇ、私モノじゃないからね。でも、今は許す!
「えー、ズルいよね。桜実ちゃん、この子隠してさー。で、キミ名前教えてくれないの?」
教えるかー!私、極力攻略対象者と接触しないと、決めてたのに!
「ヤナー!」
アイドルの名前堂々と、叫ぶ危険団体。いや、アイドル。
「なにし、てんだ?」
目が点だよね、ちょ、なに仲間よんでんだ。危機におちいった動物かよ。私の方が危機だからね!
「…あれ、お、桜実?!」
「…桜実ちゃん?と、誰?」
「…俺のー、彼女?」
最後に言ったやつ、ふざけるな!
というか、紅野梁!テメェ、ふざけるな!
「ちげーよ、あんぱん投げるぞ、コラァ」
「──あんぱん?!」
「ちょーど。ここに、あるからね!」
なぜですか?女神様よ。なぜですか?
こんなに、おねぇの攻略対象者は、おねぇを放置して、脇役(モブっ子)でもない、名前もない、妹を囲んでいるのかな?
たすけろぉい!