ないよー。
それは、ないよー。
うん、言うよ?私、言っちゃう!
ないよー。
ただし、心の中で。
平日の午後。いわゆる、放課後です。
バンドメンバーと、街へlet's go!バンド練習だぜぇ!
ひゃっふぅー!
あー!おいてかれた…!
『あれって、桜実先輩じゃない?』
『ローズ、いきなよ!』
くそぅ、置いていくなよ!
いいかい?君たち。
アレには、イベントフラグが立っているんだ!
近づけば、イベントに巻き込まれちゃうよ?
いいの?よくないでしょ?ねぇ?
なんて、いえないしー。ちぇっ!
「桜実ー!お前にそっくりなやつ、この前見たんだよ!」
しかも、天使顔!
私は、覚えているぞ?
私を、桜実とまちがえやがって!しかも、どや顔!
あぁ、あの時はちょっと吹き出しそうだったな。
その後も、桜実に間違える奴がいてイラってしたな。
「え?私、そっくり?……バカでしょ?こんな、ありきたりな顔いっぱいいるでしょ。」
おぅい!こっち見んな!
うわっ!目があった!
「あ、そ…」
「何か言った?桜実」
「…花崎空がいたんだった」
聞こえてますよー!私、ハイスペック妹なんで。地獄耳なんで、隣の花崎空が聞こえない言葉も聞きとれますよー。
私の名前、言おうとしたでしょ?
危ないって!こりゃ、逃げるしかないね!
「花崎空!私、用事できた!んじゃ!」
おおふ、くんなー!
「桜実ー?!」
ないよー。ほんとに、ないって!
イベント放っておいて来ちゃう?だめでしょ?!
──逃げなきゃ。
そこで、私の使命感が発動!
使命っていうか、自分のためなんだけどね。
ハイスペック運動能力最高!
あれ、最近これ、使う率高くなってない?
え、やだ。