ベテルギュース≪狩人《かりゅうど》への哀悼≫
副題 ≪狩人への哀悼≫
【ベテルギュース】
今虚空に僕は浮かぶ
数多の星の世界空を廻って どれだけの時が過ぎたか
その間にいくつかの星が生まれ いくつかの星が死に絶えたか
今その星の世界
滅びの道を行く世界よ
有史以前から 終焉の時まで 夜空に輝いて
六百光年離れた オリオンの右肩
冬の大三角の ベテルギウスよ
あなたは何故に 消ゆるのか
今その星を見ている世界
夜空に起こった大爆発 一等星より輝いて
夜空は異様に明るく 世界を照らし
世界は一瞬止まり 生命は夜空を見上げる
恐怖を世界が包み 生命は夜空を指差す
この世界を覆ってく 星の残り火が
今その星の世界忘れ去られ
滅んだその世界
夜空の残骸も とうの昔に消え果て
名高きオリオンの 右腕も堕ち
夜空に誇った大三角 それさえ既に無く
残るはシリウスと プロキオンの大分線
そんな時でも だれかあなたが
存在していた事を 知る者は居るのか
今その星を見ていた世界
かつて驕れた生命の 世界も遠い夢の中
狩人の怒りに 滅ぼされた世界よ
星の世界は きっとあなたに
哀悼を表し 後を追うのだろう
今虚空に僕は浮かぶ
数多の星の世界空を廻って どれだけの時が過ぎたか
その間にいくつかの星が生まれ いくつかの星が死に絶えたか
その真理はこれからも 永遠につづくだろう
そして星は 祝福と哀悼を繰り返し
自分にも来る その時まで
宇宙に在って 輝くのだろう