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僕の部屋がアイテムボックスな件  作者: ぎあまん


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お昼弁当と放課後騒動



 真白が来てから、学校での生活にも変化が訪れている。

 一番の変化は堂城さんとの関係だろう。

 というかそれ以外にはなにもないかもしれない。


「尾羽くん、お昼にしましょう」

「……はい」


 堂城さんの発言で教室がザワっとする。

 みんな、いまだにこの変化に慣れていない。

 入学してから常に一人だった堂城さんが僕をお昼に誘うのだから、それも当然なのかもしれない。

 おかげで僕が堂城さんと付き合っているというような噂が立つが、彼女はそんな話を耳にする度に「婚約者がいます」「尾羽くんは親戚」と訂正していく。


 それでも二人きりというのはまずいので、柚木さんと厳里さん、with男子たちも加えることにした。

 この五人はもう断鬼の者なので秘密の漏洩とかを恐れる必要はない。


 中身がどうなっているのかって?


 ソンナコトハカンガエテハイケナイヨ。

 イイネ?


 そして僕たちがどこでお昼を食べるかというと、文化部の部室が集まっている中にある空室。

 以前は茶道部があったとかで畳が敷かれている。

 そこに座布団を敷いて車座になってそれぞれに弁当を食べている。

 以前は、堂城さんが一人でこの部屋を使っていたらしい。

 そういえば、昼休憩には姿がなかったような?


 なんでそんな特別扱いが許されるのかと言われれば、話は簡単。

 この学校は私立校。

 そして堂城家はかなり太めの出資者。

 説明は以上。


 そしてそんな空室に堂城さんが僕を誘うようになったのは、別に僕になにか思うところがあるからではない。

 目的は別にある。


「ああ、今日も可愛い」


 柚木さんたち五人、そして僕が黙々とお昼ご飯を食べる中で、堂城さんは僕から受け取った「今日の真白」の写メを眺めて悶えている。

 毎日、真白の写メを撮って送れと堂城さんにお願い(脅迫)されて、そうしているのだ。

 真白の方も特に嫌がることなく撮影に応じている。


「ええと、これって僕がここにいる意味はなくない?」

「ダメよ。真白になにか異常があった時、話を聞かないといけないでしょう」


 デレデレだった表情をキリッと戻し、堂城さんは言う。

 そしてスマホに目を戻し、人型だったり蛇の姿だったりする真白を見て、再びデレデレになる。


「はぁ……真白ってばまた霊力が上がっているわね。尾羽くん、いいものを食べさせてくれているのね」

「ええとまぁ、それなりに?」


 異世界の食べ物がいいものであるかどうかは、ちょっと判断が難しいな。

 向こうの価値観的には高級品なものもあるそうだし、実際に美味しいんだけどね。

 こっちの価値観的にそれがいいものかどうかは、僕にはわからない。


「悪く聞こえるかもしれないけれど、あなたの生活環境ではあまり無理はできないのではないかしら?」

「ははは」


 僕が住んでいるところを知っていれば、そんな感想になるよね。

 さらに、堂城さんの真白愛から察するに、探偵とか使うレベルの調査とかはされてそう。

 それでもアイテムボックスのことがバレるわけもない。

 支出とか調べられたら、明らかにおかしいのはバレてしまうかもしれないけど。

 最近、食費はお米と調味料代くらいにしか使ってない気がするから。

 でも、わかるのはそこまでだろう。


「大丈夫だよ。生活の負担にはなっていないから」

「いざとなったら、うちに越して来てもいいのよ?」

「……いや、大丈夫だから」


 真白を連れ返そうという気持ちが隠れていないような気がするよ?


「ええと、堂城さんのお子さん……真白には兄弟はいるの?」


 話題を変えようと、思いついたことを聞いてみる。

 最初に誘われた数日は、ひたすら写真を眺めるだけでこちらと会話をする気もなかったから、こんな質問もできなかった。

 そういう意味では、堂城さんも落ち着いて来たのか。

 あるいは、いままで一人だった空間に僕たちがいることに慣れたのか。


「ええ、いるわ。真白が最初の子で、他に三人」


 四人の子持ちなのか、堂城さん。


「みんな可愛いわよ」

「ですよねー」


 そして四人全員にこのレベルの愛情なのか。

 すごいな。

 これが母の力?


 いや、堂城さんの力だな。


 母っていう連想から実母を思い出してスンとなったよ。


「私も実の母に売られたみたいに手放されたから」


 と堂城さんが声のトーンを落として言った。

 うん?

 これは僕の方が顔に出てたかな?


「実の子にはちゃんと愛情を届けたいの。同じことにはなりたくないの」

「……そうだね」


 そういうことを言われると、僕が真白をすんなりと受け入れたのも、そもそも結婚になにも期待していないからだろうしね。


「そういう気持ちはわかるよ」


 だから、そもそも結婚するかどうかさえもわからなかった。

 だけどしてしまった。

 なら、同じことにならないように大切にしようとは思っている。


「ええ、信じているわ。尾羽くん」


 堂城さんが頷く。

 それからまた真白の写真を見て悶える堂城さんに戻り、僕たちは弁当の残りを食べ終えて解散になった。


 その後は何事もなく午後の授業も終わり、帰宅となる。

 だけど団地の前にはたくさんの救急車がいて、騒ぎになっていた。


「どうしたんですか?」

「あら、尾羽くん、大丈夫だった?」


 自治会長のおばさんがいたので話しかけると、そう言われた。


「大丈夫って?」

「尾羽くんのいる二号棟の人が急に体調不良でたくさん倒れて、いま大騒ぎなのよ」

「え?」

「尾羽くんのところもお母さんがいるでしょ? 大丈夫? ちゃんと確認して、なにかあったら119番するのよ」

「はい、わかりました」


 そう答えてから、急いで自室に戻る。

 鍵が開いていた。


「真白⁉︎」


 ドアが閉まるのももどかしくそう呼びかけたのだけど、返事はなかった。

 真白がいなくなった。

 

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