て:手の平に
『ずっと、あなたの事が好き。』
そう言い掛ける私の言葉は、あなたの慌てた人差し指に止められる。
もう何度目かしらね。繰り返されるおんなじ所作。
困った顔で、いつもあなたは目を反らす。
私の言葉を止めるあなたの指。私の唇に、恥ずかしそうに、なのに大胆に指を押し付ける。
そうやって私を黙らせて、あなたは更にだめ押し。
『……言わないで。』可愛く、そう呟く。
食べちゃいたい位に――あなたは可愛い。
真っ直ぐな性格が好き。
素直な笑い方が好き。
駄目な事にちゃんと駄目って向かっていける気高さが好き。
あなたの言う「ありがとう」が好き。
あなたの言う「ごめんね」が好き。
――私の味方でいてくれた。私を認めてくれた。そう、そう思える位に私に踏み込んで来てくれたの、あなただけなの。
あなたの優しさ全て。
あなた毎、全部……大好き。
あなたの”好き”は友人の域を出ない。
それでいいの。私が勝手にあなたを好きなだけ。
……だから、もうやめなくちゃ。
あなたをこれ以上困らせる前に。
あなたにこれ以上辛い顔をさせない様に。
私、知ってるの。あなたに好きな人が出来た事。
あなたがすごくすごくその人を好きな事。
だから、ジャマする訳にはいかない。
だって、大好きなあなたには幸せでいてもらわなくちゃ。
『ずっと好きだったのよ。』
あなたの指が止める前に、私の言葉はあなたに届いてた。
あなたの唇は薄く開いてて。
何か言いた気に、開いてて。
『 』
何か言おうとしたあなたの唇を、私はそっと手の平で塞いだ。ごめんね、聞きたくない。
あなたに、私はにっこり笑えたかしら。すぐに、手の平を外して。
『だった、って言ったでしょ? これからは、ただの友人としてあなたが好き。ただの友達。あなたは、私にとって最高に大好きな親友なの。』
真面目に言った私に、あなたの強張ってた顔が緩んだ。
『私にとっても、……は最高に気を許せる親友だよ。』
罪のない笑顔で、あなたは無邪気に釘を刺すの。ほんとに、もう……そういう純粋さが、大好きなのよ。
さよなら、大好きなあなたへの想い。
明日から、あなたは「特別な好き」を入れないただの友達。
それでいい。だって、私ほんとにあなたが好きなんだもの。
だから、……さよなら、私の恋。
淡く触れた唇。
想い出は、ちゃんと私の手の平に刻まれたから。




