1 初めての面接
はじめまして。
桜 叶と申します。
初めて書いた作品です。なんのノウハウもないまま、頭の中で妄想してたものを文字で表したくなり、何とか作り上げました。
なので、マイワールド、マイルールという事でお付き合いお願い申し上げます。
どうぞよろしくお願いします。
「どうして弊社を希望されたのですか?」
……この質問、親友の真由美に言われてた、【しょうもないけど、てっぺんの質問。高い確率で出るから、ある程度考えといたほうがいいよ。特に社会経験ほぼ0のゆりは】と…。
(本当だったわ。)
「広瀬さん?広瀬ゆりさん?」
「! あっ、すみません。」
「大丈夫でしょうか?特にないならないでも大丈夫ですよ。」
優しい声で面接員の3人のうち、中心となって質問してるこの人、モデルのような顔立ちで、背も高くスーツの似合う方。でも笑うと柔らかな感じで話しやすそうだな。この人のおかげで思ったより緊張していない。
たしか初めのあいさつで溝口雅也さんと名乗っていた、営業課長さん。
「申し訳ございません。大丈夫です。理由は、離婚してもうすぐ高校卒業する娘と2人で生活していくためです。」
「え⋯」
「離婚?」
「⋯⋯」
3人それぞれの反応⋯。聞いてきた溝口さんは無言。
あれ?こう言うはずだったかしら。⋯あっ!
「あ!すみません。その前に私紅茶がとても好きで、御社で販売してる茶葉が私の好みの味で、自分の大好きなものに関わって働けたら幸せだな、と思い応募させていただきました。」
⋯⋯⋯間がある。
今さら取ってつけたように言ってるって思われてるわよね。
真由美に、ややこしい人間は雇いたくないから、離婚の事は言わないようにって言われてたのに。
「そんな理由か。」
「まぁ、年齢的にも難しいか。」
ボソボソと聞こえても構わないかのように、年配の方、2人で話してる。
(あー他探さないとダメか⋯アルバイトなら雇ってもらえるかもと、期待したのは甘いわよね。)
気持ちが沈みかけているところに、溝口さんが聞いてきた。
「どんな紅茶を飲まれてるんですか?」
「!」
まだ諦めるのは早い?
「はい、1番好きなのは、アッサムです。ミルクを入れて飲むのが好きなんです。なので、セイロンや、アッサムの含まれるブレンドも好きです。あ、ただ、茶園によって好みでないものもありますが。」
大好きな紅茶の話しだと、自然に口が動いて楽しくなる。
「御社で取り扱っている茶葉は、甘みのある茶葉ご多く、ダージリンもミルクでいただけるので、本当にいつも美味しくいただいてます!」
「⋯⋯」
「あっ、すみません⋯話し過ぎました⋯」
普通のお話しする場じゃないのに⋯
またガッカリしそうになってると、溝口さんがフッと笑った。
笑うと優しい顔。色気のある表情から一変し、青年ぽさが見えるようになる。きっと女性にモテる。
「本当に紅茶が好きなんですね。そう言ってもらえると、テイスティングして茶葉を買い付ける大変さも、報われるし、やりがいを感じます。」
「まぁ!そうなんですね、いつも美味しい紅茶をありがとうございます。」
「ははははっ。買っていただいてるから、お礼を言うのはこちらなのに!」
「あ⋯確かに⋯フフ。でも自分好みの美味しい紅茶を一口飲んだ瞬間に幸せで美味しいっ、ていう気持ちで癒されるんです。イヤな事があっても、この時間だけは暖かい時間に感じられるんです。⋯なので、やっぱりそんな紅茶に出会わせてくれた感謝を感じずにはいられまん。」
「⋯そうですか。ありがとうございます。」
溝口さんは優しく微笑みながら、まっすぐ私を見て言った。