6話(閑話)
時系列が少しズレます。主人公ではない視点での会話パートです。
また、閑話のため少し短めとなっております。
本日は複数回投稿しているのでご注意下さい。
「あの娘をどう思う?」
俺は側近に問いかける
「正直異端かと。敵にするのは論外ですが、味方として置いておくのも恐怖、と言うのが正しいですね。関わり合いにならないで済むのならそれが一番と言いたいですね」
「俺もそう思う。あれは頭がおかしい。俺を蘇生させた能力もおかしいが、それを『暴力が嫌いだから』と言って行うのは意味が分からない」
「エラーコード201の異世界人の情報は見つかったか?」
「見つかりました。報告します。召喚されたのは400年前、前々回ですね。今回の召喚された者とは別の方向で人格が破綻していたと言われていたと記載されています。喜怒哀楽がバラバラで、笑っていたと思ったら突然怒りだしたりと、全く感情が読めなかったそうです。しかし、勇者としての能力は優秀で、複数の能力を使いこなし魔王を倒し、そのまま自分の世界へ帰ったとされていますね。複数の能力については不明です。その部分のみ、情報が抹消された可能性があります」
「情報の抹消だと?誰がやったかはわかるか?」
「おそらくはその異世界人がやったと思われます。不都合な記録を抹消してから帰還したのではないかと推測されてます」
実にややこしい状態になっているな……。少なくとも能力の1つに記憶、又は記録の抹消をするモノがあったということだな。
「今回の音和は複数の能力を持っていると思うか?」
「わかりません、しかし老子様が判断した中では、一つの能力の汎用性が異常に高いだけで複数の能力を使っているわけではないそうです。まだすべてを見たとはとてもじゃないが言えないので現時点での判断、とは言ってましたが」
「世界を捻じ曲げる、本人曰く呪いの力、か。それを使えば自分に関する記録や記憶を消すことは出来るな。それが201の可能性はあるか?」
「なくはない、と言ったところでしょうか。自分の実力を隠す、データとして消しているから診断出来ずにエラーが出る……。しかし、その可能性は限りなく低いと老子様は判断しています」
「何故だ?共通点からしたら辻褄は合うと思うが」
「老子様曰く、『音和は本当に何故エラーが出たのかを理解していない、そこに嘘を感じなかった。更に、実力を隠すならそもそもあんな風に力を見せつける必要がなく、自分の能力のことを言う必要もないはずだと。そして、その能力に関して、私達全員が覚えていることが何よりの証拠だと。エラーが起こり得るのなら、記憶や記録を抹消したあとでなければおかしい』と言っていましたね。
「ふー……ならば結局のところ、エラーが出た理由はわからないということか?」
「そうですね、それに関しては、同じように複数の能力を使用が認められるか、突然感情が支離滅裂になるなどの共通点が見つけられるかしないと判断は不可能でしょう。しかし、重要なのはその部分ではないのです」
「エラーコード1,001か……」
「そうです、4桁のコードが出てきたことは今までの歴史上、記録には一切残っていません。909に関して内容は不明ですが出たことはあるという情報は残っているのですが……」
「4桁に関して、推測は立つか?」
「不可能です。そもそも存在すらしていると思われていなかったものですので。これに関しては要観察をする必要があるかと」
「監視に関してはどうなっている?」
「普通の方法では無理ですね。どうやっているのかは不明ですが、意識を向けられていることに気付く能力がズバ抜けています。これも能力で世界の方式を塗り替えてる可能性があります」
「どうするのがベストだと思う?」
「あの異世界人に味方を付けることだと思います。魔王討伐の仲間を付ける、とするしかないでしょう。しかし、問題点が一つありますね」
「敵意などを持ったら気付かれる、か。下手に報告させようと思ったらそれにも気付く可能性があるな」
「そうですね。今は、能力の幅や、有効範囲の幅等を調査するのが先決かと思います」
「そうするしかないか……幸い、能力を公開することは躊躇わないようだから、なんとか口で言い負かすなりして、立ち合いかそれが無理ならば1人で訓練所で動いてもらうおうか」
今回もお読み頂きありがとうございます。
明日は投稿できるかわかりません、ご容赦下さい。