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3話

本日二話目の更新です、ご注意下さい。

「ほう……此度の勇者は命知らずと見える」


 短気な人だなあ。私の夢に出てくる人ってこんなのばっかりだからイヤになる。


「だってそうでしょ? 私、この場所に来ることに同意はしたけど、そもそも召喚? をされることに同意はしてないもの。そっちが呼んだんだから、むしろ貴方達が頭を下げなさいよ」


 王様っぽい人だけではなく、周りの偉そうな人達も青筋を立てている気がする。逆に護衛達は困惑している? 困惑はちょっとわからないけど何か言われてたのかな


「おいジジイ。こいつは本当に勇者の器なのか?聞いてた話と違うんだが?」


老子さんとやらをジジイ呼ばわりか、やっぱり王様なんだろうなあこの人。イヤな国だね。


「勇者の器と言った覚えはありませんな。歴代の召喚された者達より実力の底が見えないことと、まともに話せばしっかりと会話をしてくれるとは言いましたが。そもそも、歴代の召喚されし者たちもまともに謁見出来たという記録はほとんど残っていないはずですぞ?」


 そりゃそうだろうなあ……どこから召喚されてるのか知らないけど、私の夢って考えれば私と同等の時代の召喚でしょ。謁見の仕方とかわかるはずないじゃん。私は偉そうなだけの人の言うこと聞きたくないだけだけど。


「本当にこんな娘に実力があるのか……?おい娘、俺と立ち会え」


王様っぽい……王様でいいかもう。は何故か唐突に立ち上がってそう言った。


「え、イヤです。私、暴力振るうの嫌いなんで」


「は?」

「え?」


王様含めて周りが騒めいていくのを感じる。煩いなぁ。暴力なんて疲れるし痛いし良いことなんてないじゃない。


「それでは、どうやって実力を示す?」

「いや知らないよ。実力を示す理由も聞いていないのになんで疲れることしなくちゃいけないの?」


「王よ! こんな娘に実力があるわけありませぬ! 斬り伏せてやれば良いのです。もし実力があるのなら勝手に生き残るでしょう!」


 なんか知らないけど無茶苦茶なこと言う人が出てきた。王様が喋ってる間に割り込んじゃいけないんだぞ、確か。


「それもそうだな。おい娘。今から斬りかかるから生き残ってみせよ」


 そう言うと王様は剣を持ってそのまま斬りかかってきた。遠慮なさすぎだろ。老子さんが後ろで頭抱えてるのが見える。苦労してるんだね。


「嫌だよ。殺されて、あげる、ね?」

『疑似ゾーン発動』

 瞬間自分を含め世界の動きが遅くなる。別にこれは大したことではない、スポーツ選手などにあるゾーンに自力で突入しているだけで、夢の中でなくとも、現実でも出来る。

 私の動きも遅くなるけれど、今この場で必要なのは私がイメージをする時間だから。


「戯言を!」


 そもそも私は武器を持っていないのにね、ムカつくから思惑を外してあげよう。王様は一撃で首を刎ねるつもりなのか、剣を横薙ぎで振るってきた。


『その剣は素手で剣を受けようとした私の腕ごと首を斬り落とすだろう。この人の意思通りに』


「どういうつもりだ……!? お前のその反応速度なら躱せたはず! ジジイの言うことが正しいのなら、飛ぶなり空間移動をすれば良いじゃないか! 本気でお前は死ぬ気だったのか!?」


「殺されてあげるって、私、言ったけどね。



あと、油断し過ぎだから」


 左腕は吹き飛んだが気にしない。夢で四肢が飛ぶくらい良くあることだ、無視でいい。

『私は金的を放つ。相手は受けて動きが止まる』『私は残った右腕で相手の身体を貫き、心臓を握りつぶす』


「な……」


「おやすみなさい、喧嘩を売るなら相手を良く見て決めてね。喧嘩売ったのなら、途中で止まるなんて相手を馬鹿にした行動を、次はしないでね」


 そうして、王様は血濡れの床に倒れ伏した。




 最初に動いたのは私だった。別に必要ではないけど飛ばされた左腕を拾い上げ、まるでくっ付けるように右手で持って押しつけ『いつも通りの健康な身体』に戻した。


 次に動いたのは老子さんだった。むしろ私より先に動いてはいたのかもしれない。


「流石にここまでは許されんぞ、音和」


 感情の消えた声で大量の火球を浮かべてそう言い、そのまま全てを放ってきた。ここ室内なんですけど? 私を殺しても他の人も殺すと思うんですけど? というか火事になって無関係の人達まで死なない?


「いや私はちゃんと老子さんに忠告したと思うけど。というかこれじゃ火事になるからどうにかするね」


『老子の放った火球は全て魔力として空気中に還る』


 迫ってきてた火球は一瞬にして全て消えた。流石に老子の顔に焦りが見える。


「音和、お主の実力はどこまで……っ」


 次の攻撃の準備をしている老子さん。そして周りの護衛達も動こうとしてる。そろそろメンドイ。


「いや、落ち着いてよ皆。王様はそこにちゃんと居るんだからさ」


「は……?」


 世界から音が消えたような気がするくらい静かになった。みんなが見ている場所には。

『私が最初にこの部屋に入ったときのように、王様が玉座に座っていた』

読んでくださりありがとうございます。

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