15話
金曜土曜は夜の更新を目指しています。
「そもそも、音和、お前の力ならこやつに襲われたところで負けはしないだろうが」
王様が口を挟んできた。私の力は万能じゃないからそんなことないんだけど。
「それは関係ないよ、襲ってきたっていう事実が重要なわけで。そもそも私だけじゃなくて、他にも女性いるよ?」
「お兄様がわたくしを襲うわけないですわ!」
あ、妹さんなんだ。そもそも私、この人達のこと全然知らないな。聞く前に男性を拒否ってこの流れになったから当たり前だけど。
「いやあ、世の中にはそういう人も結構な割り合いでいるしなあ、それは保証にならないかな? それにあともう一人はどうするの? その人も襲われても勝てるタイプ?」
「私は、あの……」
やっぱり見た目通り、この人はまごまごしているというか、本来ならこの場にいるような人じゃないんだろうな。力はもってるけど身分は持っていない、みたいな感じかな。
「なるほど、というわけで! 男性お断りです! 行くなら女性だけで行きましょう!」
「せっかくこの俺がわざわざ来てやったのにその言いぐさはなんだ!」
「やめとけレオ。お前じゃまず勝てん」
怒って攻めてきそうな偉そうな男性を王様が止めた。うんうん、賢明な判断です。勝てるか勝てないかは知らないけど。
「しかし父上……!」
「女性への配慮が足りなかった俺の失点だ、お前は悪くないから気にするな。歴代の勇者は圧倒的に男性の方が召喚されてきていたのでな、すまんな音和」
おー、素直に謝れる人になってる。元々こうなのか、力が強い人には下手に出るのかわからないけど、まあ争わないで済みそうで何より。
「別にいいよー。で、そっちの女性二人はどうするの? 着いてきてくれるならそれで良いし、イヤなら私は一人で行くし」
道がわからないという大問題があるがな! まあなんとかなるなる、ならなくても私に責任はない、きっと多分。
「私は……行きますけど……」
「お兄様が行かないなら私が行く必要もありませんわ!」
両極端な答えが返ってきた。でも、絶対行きたいみたいな感じではないからこれは私一人になる可能性もあるね?
「ダリア、お前は一緒に行け。これは王命だ。リリムも行ってくれる気があるなら助かる」
王命で行かされちゃうのかー。
「私、やる気のない人いらないんだけど、王命で無理やり行かされて大丈夫なの?」
「ダリアなら大丈夫だ、そもそも行かないという選択肢はないからな」
選択肢がないってどういうことだろう? まあどうでもいいか。
「やる気出せるの? ダリアさん?」
「失礼なこと言わないで下さいまし! 行くとなったなら、全力を出させて頂きますわ。そもそも魔族は私たちの敵なのですから!」
いや、それなら最初に断るなよ。
「えーっと。リリムさんもよろしくね?」
「あ、はいっ。よろしくおねがいします……!」
「王様、この三人で行くの? 前衛が居ないことになるけど」
ぶっちゃけ私はどのポジションでもいけるけど、痛いのイヤだし前衛はあんまりやりたくないんだよね。
「問題ない、ダリアが前衛中衛後衛、リリムが援護、音和が遊撃で良い」
なんか無茶苦茶なこと言いだした。え、ダリアさんってそんな優秀なの?
「ダリアさんってそんな優秀なの?」
「立て続けに失礼なこと言いますわね!? 私はこう見えて老子様の一番弟子なのですわよ!?」
あ、口から出すつもりなかった言葉が出てたわ。っていうかあの老子さんの一番弟子? それなら確かに実力は確かなんだろうけど……性格は矯正出来なかったのかな、老子さん。
「性格も矯正してほしかったなぁ老子さん……」
「なんなんですのこの人!? 物凄く失礼なんですけど!?」
「諦めろダリア。こいつの性格の方がおかしいから気にするな」
「そういう問題ではありませんわ!?」
私はマイペースなだけで性格は普通だよ?
「リリムさんは何が得意なのー?」
「ちょ、話終わってないんですのよ!?」
「えーっと……。回復、結界、バフ……特に防御関係のバフが得意ですね。だから援護なんだと思います」
おー、強そう。私はあんまり回復とかその手のものはいらないけど、自分でやった方が多分早いし。
「じゃあ、リリムさんとダリアさんで補いあって戦えたら強いねー」
「あの……音和様には援護は……?」
「いらないかな? いや、実際に戦場に出てみないと分からないけどね。ぶっちゃけ、仲間居なくても私は一人で行くつもりだったし。でもどこから行ったらいいのかがわからなかったから、道案内してくれる人がいて助かるよー」
「私たちは道案内じゃないんですのよ!?」
ダリアさんはツッコミ担当、私覚えた。
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