12話
ここから一章目です。
おはようございます、音和です。とはいえ夜中なんですけどね。二時間くらい寝ただろうか、寝て起きてこの場所に居るということは、やはりこれは現実なんだろうな。この状態でまだ夢の可能性あるよね? って思う人もいるかもしれないけど私はニャロをとても信頼しているので、あの子が夢じゃなくて現実だというのなら現実なのだろう。
それでも、この世界は『夢』で良いだろう。少なくとも、異世界を一般的に現実的とは言わないだろうし、同じようにイメージが使えるのだから。
異世界に転移したというより、現実の身体が長い眠りについてしまって、ずっと夢を見ているといった方が、個人的には受け入れやすいのだけどどうだろう。
事故に合って死んでしまって転生とかもあるけれど、事故にあったことを覚えているのなら、実はそのまま植物人間になって長い長い夢を見ている、と言った方が私的には納得しやすい。
まあこれは、私の夢との付き合い方のせいだろうからあんまり気にすることではないか。夢と現実なんていつだって隣り合わせなのだから。
さて、そこを念頭に置いてどうするかな。魔族や魔王に会いに行くと言っても、場所がわからない。一人で行っても良いものか……少なくとも勝手に行くべきではないだろうし。
ということは、結局この国を頼ることになりそう。まあ頼るというのなら国が私を頼るっていう形の方が正しいのかもしれないけど。
そうなると……この時間は暇だね? 短時間で起きてるから、朝までまだまだ長い。魔力さんと会話? 対話? でもしようかな。せっかく意思があるんだもんね。
何を話そうか。気になるところは、私は現実世界に転移出来てしまうのか、ってところだけど。これはわからないままの方が良さそう。たとえこっちから向こうに戻れても、向こうからこっちへ来ることは私の力では不可能なのだから。私はまだこの世界に居たいし向こうには帰りたくないし、思いつかないことはイメージ出来ないからね。
魔力さんって何をあげたら喜んでくれるんだろう。生きてて力を貸してくれるということは、向こうも何らかの見返りを貰っているような気がするんだけど、全く思い浮かばない。
「何か欲しいものあるの?」
とりあえず問いかけてみる。対話と言っても、同じ言語で話せるわけでもなく、というか言葉を発しているわけでもないから良く分からないけど。なんとなーくそれっぽい意思を感じるというか、そんな感じ。
「模擬戦してたときが一番良かった?」
そんな感じが伝わってくる。何が良かったんだろう。魔力は使ってはいたけど、何かを還元していたつもりはないのだけど。
「感情が良かったの?」
ちょっと違う ?感情一つではないのかな?
「感情の波が心地良いってこと?」
なのかな? 会話出来ないからわからないけど、なんとなくそんな感じがする。
「魔力さんの力で現象を起こすと、いろんな人の感情が揺れるから心地良い空間になるってことかな?」
なるほどね。魔法を使わなくても周りの感情を揺らせる人の方が、力を貸したくなるから魔法も強くなって、って感じかな。診断で出した適正ってそんな感じなんだろう。
老子さんは魔法の方が得意に見せかけて、杖術もかなり使える感じだったし、老人の姿で杖を振り回せる姿は本当に驚くものね。
「どの属性が得意かって、その人がその属性を使うと周りの感情が揺らせるからってことなのかな?」
それは違う? それならなんだろう……ちょっと思い浮かばないなあ。
「え、ここまでわかってくれれば充分? この世界にこんなに対話出来る人はなかなかいない? そうなんだ……」
そんなものなんだ? 言葉も表情もわからないけど、なんとなく気持ちというかそういうのはわかりやすいと思ったんだけどな。なんでだろうね。
「これからもいろんな人の感情を揺れ動かしてくれるのを期待している? そっか、頑張るから、魔力さん達も力を貸してくれたら嬉しいな」
多分私のイメージ能力は、魔力なしでも全然いけるんだろうけど、もしも私が一人で旅をするわけじゃなかったりしたら絶対必須になるだろうし、魔力さんに気に入られるのならそれに越したことはないよね。
可能なら、魔力を使わないといけないような、使った方がやりやすいような、そんなものも身に付けられたらいいなあ。
あ、外が少し白んできた気がする。もうすぐ朝かな。朝食はあるのかな、いらないとは伝えてあるけれど。飲み物だけまた貰って、今日からもまた頑張っていきましょうか。
新しい一日、新しい世界と認識出来た、その一歩目を、今日から!
読んでいただきありがとうございます。
出来るだけ7時更新にしようかなと今は考えています。