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わがままな義妹なんて荷が重い  作者: 御重スミヲ
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49、パスポート


 ものすごくよいタイミングで、第二王子から身分証と越境許可証をもらった。いわゆるパスポートだね。

 そういえば、「礼はいずれ」って言ってた。

 こっちからお願いするまでもなく、私がいちばん欲しくて、また必要なものを用意してくるあたり、本当に有能なんだと思う。

 もちろんロス爺の迎えに備えてのことだけど、それまでにまだ二年以上もあるわけで…

 こっちが秘密にしてることまで全部知ってるんじゃ?って思わされることが時々あって、けっこう怖い。

 アマンダのことになると、途端にポンコツになるけど。

 彼女を独り占めしたいって意志を隠しもしないところに好感が持てるね。

 なにはともあれ、これで私はいつでも堂々とこの国を出ていけるし、自由に帰ってくることもできる。

 もちろん、これらの証書は、第二王子の一存で発行されたものじゃない。

 大っぴらにはできないけど、王孫マールスを助けたことへの王家からの褒美って意味合いがあるみたい。

 まあ、なんにしてもフローラとしては、まず年齢の問題で、どのギルドにも所属できないから本当に助かる。

 しかもこの身分証、グローブ王家がフローラ・シャムロックの身分を保証してる。

 友好関係にある国だったら、貴族用の門から同行者の身分チェックも荷物検査もなしに通れるって優れもの。

 もちろん、待ち時間もなし。

 ほとんど貴族相当の扱いで、高級宿や公共施設の利用についても概ね同じようかな。

 越境許可証は、申請すれば平民にも発行される、あくまでグローブ王国の国境を行き来できるってものだけど、これを持っていればグローブ王国民だって証明になるから、なんかあった時に少しは扱いがマシになるんだとか。

 …最後は実力がものいう世界だから、お守り程度に考えておくのが無難みたい。

 もっとも、ロス爺の送迎が約束されてる私は、彼の公爵としての身分証、もしくはSランクの冒険者カードで、同行者として十分自由に行動できるんだけど。

 物事に絶対はないし、まったく自由がきかないのと、いつでも行けるけど単に時期じゃないから行かないのでは気分が違う。

 一つ欠点を上げるとすれば、自分の行動を秘密にできないこと。

 ロス爺たちはどうやって移動してるんだろう?

 自分でやってみて実感したことだけど、気配を消しても、《結界》を張っても、それはその場限りのこと。生きてるだけで何かしら痕跡が残るものだ。

 魔物の脅威度が上がれば上がるほど、戦闘の気配は大きくなるし、いくらロス爺が強くても、無限に魔力を取り込めるわけじゃないから、ただ隠すために《結界》を張って戦うなんて現実的じゃない。

 Cランク以上の魔物は、目撃しただけで冒険者ギルドへの報告義務が生じる。

 ダンジョンは入場、踏破ともに記録が残るし、大物を換金すれば、ギルドや商会の宣伝に使われるだろう。

 当事者の名前を伏せたところで、ピンとくる人はくるよね。

 あのロス爺やその仲間が、ちまちまホーンラビットやゴブリンだけを狩るとか、異性関係を自粛して大人しくしてるなんて想像できないし…

 例えば行く先々で名前を変えたとしても、あの風貌は目立つ、目立ち過ぎる!

 すぐ【慈悲いらず】だってわかっちゃうんじゃないかな。

 病気や怪我や命の心配はしてないけど、派手に動き回ってるはずなのに、噂一つ聞こえてこない理由をぜひ知りたい。

 ちなみに、なんでこんな二つ名が付いたかというと、敵にも自分にも慈悲の一撃が必要ないからだって。

 中途半端な怪我は負わせないし、負わないってことだね。



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