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わがままな義妹なんて荷が重い  作者: 御重スミヲ
35/63

35、冒険者マーサ


 だいたいの目処は立ったものの、私の《アバター》にはもう一つ重大な欠陥があった。

 なぜか、か~なり馴染みのある姿にしかできない。

 たとえば、アマンダやロス爺を形づくったとする。

 一応それっぽいものはできる。

 でも、どこがどうとは言えないけど、明確な違和感があって、それがなんともいえず気持ち悪い。

 前世、世界的に有名な女優の修正しすぎた写真を見せられた犬が、ものすごい勢いで吠え、逃げる動画を見たことがある。

 たぶんそれと同じこと。とても使えんわねぇ。

 もっと練習すれば、つくる分にはもう少しなんとかなるのかもしれないけど、いまのところ、見られるレベルに仕上げられるのは「私」だけ。

 でも、私がこんなことにチャレンジしてるのは、とりあえず冒険者として活動してみるためで、四歳児の「私」じゃ、いくら精巧にできても意味がない。

 仕方がない。ここは禁断の…

 苦肉の策でつくったよ、前世の私!

 うわぁ。のっぺりした顔、ある意味触り心地のいいおなか。丈夫だけど短い脚。

 あちこち修正したいけど、実際、一度はしてみたけど。

 なんということでしょう。

 魂レベルで納得のいく《アバター》じゃないと、めちゃくちゃ酔う!

 血の気は引くし、際限なくゲロゲロで、頭はぐらんぐらん。自律神経にダイレクトアタックだ。

 フローラとして順調に成長したらこうなっただろうって姿ですら、それだもの。

 大人しく、東の辺境イーストエンド出身の中年女マーサでいくよ。

 車を買い替えた直後みたいに、多少の違和感はあったけど、もともと長く使ってた体だ。大人の尺をすぐ思い出した。

 お次は、活動時間をどう確保するか。

 はっきりいって、日常生活を送りながらマーサを操作するなんて器用さは私にはない。

 図書館で本を読むふりをしながらとか、昼寝の時間とか、細切れとなると、そのたびに《結界》張ってセーブって感じになるのかな?

 それも有りって言えば有りだけど、たとえば魔物を追いつめたところで中断なんて、徒労感が半端ない。

 《結界》を張るにも、そこから出るにも、人目を気にしなくちゃならないし、採取物をいつ、どうやってギルドに納めるかって話にもなる。

 《高速思考》で《並列思考》とか、どうだろう?

 …ほうほう。

 はじめはちょっと不思議な感覚だったけど、ようは慣れだ。

 いつも通りの生活を送るフローラも、冒険者ギルドに向かうマーサも、どっちも私。

 魔力的には何の問題もないし、特別、脳が疲れるって感じでもない。

 いままでどれだけ脳ミソ使ってなかったかわかるね。



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