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わがままな義妹なんて荷が重い  作者: 御重スミヲ
13/63

13、おめざ


 誰かかが私を呼んでる。

「…フローラ様、フローラ様。起きてください」

「ほぇっ!」

 ガバッと上半身を起こしたら、メイドのお姉さんが微笑んでいた。

「気持ちよくおやすみのところすみませんが、お支度がありますので」

「おしたく…」

「フローラ様、寝ちゃダメです」

「…様、ちゃう…そんな身分じゃないぇす、よ」

「では、フローラちゃんとお呼びしましょうか。どうせすぐ、様とお呼びするようになると思いますが」

「うぃ…」

「はい、フローラちゃん、お口をあけて。あーん」

「…あーん」

 飴玉を放り込まれて、ビビッと目が覚める。

 ミントとかじゃない。子供の舌にもおいしいフルーツ味の飴だけど、砂糖の甘みは寝惚けた頭に暴力的に効く。

 朝じゃないけど、おめざってやつだね。

 うまうま。

 味わっているうちに、温かいおしぼりで丁寧に顔を拭かれる。

 よだれ、垂らしてた?

 それから、アマンダが譲ってくれたドレスをさっそく着せられて、それに合わせた靴を履かされ、髪を整えてもらう。

「…もしかして、お夕飯に呼んでいただけるんですか?」

「そうですよ。もう少ししたら、晩餐室にご案内します」

 いらぬ緊張もセットだけど、おいしいものが食べられるのはうれしい。

 先のケーキは無理なく消化吸収されたようだ。

 うん。魔力への変換も、日に日にスムーズになってる気がする。

 まだちょと寝惚けてるので、部屋の中を歩き回って食事に備える。

 壁紙は、うっすらピンクに金糸の花模様。

 白く曲線の多い家具には、金の縁取りがしてある。

 ホタテ貝みたいな背凭れのソファーもピンク。

 窓辺に並べられた空の香水瓶がきれいだ。

 そして、大きな大きなテディベア。

 全体的に少女趣味だけど、上品にまとまっている。

「可愛い…」

「お気に召しましたか? 数年前までアマンダ様がお使いになっていた部屋ですよ」

「お礼を申し上げなければなりませんね。どうしてここまでしていただけるのかわかりませんが、とてもありがたいです。気に入りました」

 女の子なら一度は憧れる、お姫様の部屋だもの。

「もう、お目覚めなのですね。残念…僭越ながら、アマンダ様のお気持ちがわかる気がいたします。私もフローラ様…フローラちゃんのような妹がほしかった」

 ほうけ?

 中身アレだから、ちょっと気持ち悪いと思うけど。

「…さて、お時間です。ご案内します」

 音が響いてくるわけじゃないけど、気配というのかな…屋敷全体に人が詰まってる感じ。

 普段と比べてめちゃくちゃ忙しいはずなのに、礼儀正しく、でも、四角定規でもなく、やわらかな雰囲気のメイドさん。

 こんな大人になりたいものだ。

 前世もっと年上だった私は、仕事中はギスギスしてたからなぁ。



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