遥斗の日記Ⅲ
キョウヤが眠ったまま、一週間が過ぎた。
マーリンさんに手も足も出なかったあの日から、キョウヤだけが今も目を覚まさない。
正直、マーリンさんは強すぎた。
多少なら僕でも戦えるんじゃないかって思ったけど、レベルが圧倒的過ぎた。
まるで現役プロサッカー選手が初心者の高校生とサッカーをしてあげているかのような、そんな格の差だった。
マーリンさんにボコボコにされた僕らが目を覚ました場所はラウルスト山岳地帯の麓にあるファクトリ村という小さな村だった。
自然豊かな場所で、都会から遠く離れた田舎という印象の場所だけど、ファルベレッザ王国の時と違って獣人と呼ばれる人は居ない普通の村だ。
ただ、近くの森には結構強めのモンスターがうようよしてて、道を通るだけで死にかねないようなそんな危険な場所でもあった。
過疎化が進んでいるのかジジババが多く、愕然とさせられたのだが、そんな枯れ花の中にも一輪の薔薇は存在していた。
それは村長兼医者のリョウさんの一人娘シュナちゃんだ。
ちょっと恥ずかしがりやで声をかけた瞬間猛ダッシュで逃げていくし、話しかけても無言で会話にならないけど、そんなの気になんないぐらい可憐な女性だったな〜。
まぁでも、後数回も会えばきっと普通に話してくれるようになるか。
後はあのおっさんをどうやって消……じゃなかった。リョウさんにどうやって許してもらうかだな。
キョウヤが眠ったまま、二週間が経った。
マサムネがマーリンさんのところに行って修行に行くと言い出した。
正直ついていきたい気持ちでいっぱいだったが、未だに目を覚まさないキョウヤが心配で一人送り出すことにした。
途中で飢え死にしないといいが……。
キョウヤが眠ったまま三週間が経った。
今日、村の中を歩いていると、怒鳴り声が聞こえてきた。
声のした方へ行ってみると、シュウがガンツさんに怒鳴られていた。
話を聞いてみると、なんでもまたシュウが看板を勝手に書き換えたらしい。
もう何回目だよ……。
とりあえず謝らせたが、シュウのことだから十中八九またやるだろうな。
キョウヤが眠ったまま四週間が経った。
昨日、ようやく鎧武装が使えるようになった。
王女様の説明はよくわからなかったけど、魔力の流れが見えるようになったお陰か威力のコントロールや武器に付与させるやり方は案外すんなりマスターできた。
……早くキョウヤにも見せてやりたいな。
ここまで読んでいただき、誠にありがとうございます。
この小説の作者は基本的にやりたい事をやってみたい性格であるため、今回は出来たら次の日には投稿というアホみたいな事をしています。
その為、書きだめは無く、次話のアイデアも殆ど無いという実質ノープラン状態。結果、不定期更新となります。
こんな馬鹿な作者ですが、読者の皆様方には暖かい目で見守っていただけると幸いです。
今年最後の投稿がこんなんですんません。で
3章はこの話でお開きにし、次回からは4章をスタートさせていただく所存です。
来年一発目は以前お話した文学賞に投稿した小説をこちらにも投稿します。
約3万文字という制限や、慣れないジャンルで少し戸惑いましたが、私のその時の全力で書いた作品なんでね。
楽しみにしていてください。
それでは良いお年を。




