幕間:思い出
前回のあらすじ。
修と恭弥が鎧武装を習得し、化け物じみた威力でジャイアントスネークを圧倒。
しかし、その裏で暗躍する影あり。
また、この夢だ。
忘れたいのに、忘れたくないあの日の出来事。
幼き日の記憶、そして、祖父との最後の記憶。
優しくて、強くて、いつも傍に居てくれた祖父。
魔物に襲われ、両親を亡くし、一人ぼっちになってしまったわたしを引き取り、たった一人で育ててくれた祖父。
そんな祖父との最後の思い出。
夢から醒めたいと思いつつも、ずっと見続けたいとも思ってしまう。
「今から儂は古い知人と会う。だからマーリンはエンラの元で遊んできなさい」
祖父がいつも通りの優しい声音で告げてくる。
嫌だと言えわたし。
この夢を見る度に強く思う。
「うん、わかった」
言いたくない。
それでも勝手に口から出てしまうあの日の言葉。
わかっている。
これが夢で、どうしようもなく変えられない過去であることは。
「しょうがないよ。だっておじいちゃんを困らせたくなかったんでしょ?」
いつの間にか後ろにいたあの日のわたしが告げてくる。
これもいつものことだ。
「そう、いつものこと。私は後悔してる。悔やみきれない程後悔してる。もしも私がおじいちゃんの傍に居たら、おじいちゃんは殺されなかったかもしれない」
「……そうね」
「いくら酒を飲んで夢を見ないようにしても同じ事。あいつが生き続ける限り、あの日の後悔は一生続くわよ」
それだけ言い残すと、幼きわたしは姿を消した。
そして、祖父が優しい表情で微笑みかけ、わたしの頭を撫でてくる。
それがたまらなく嬉しくて、その優しいぬくもりが恋しくて、わたしの目から零したくない涙がポタポタと零れ落ちてきた。
「泣いてんのか?」
突然その言葉が聞こえ、わたしの意識は現実へと回帰した。
ふと気付けば、そこは祖父が稽古場として作った道場の縁側だった。
そして、目の前にはタオルを首に巻いた上裸の海原恭弥が立っていた。
そういえば鎧武装が使えるようになった彼に訓練をつけている最中に休憩をとっていたんだったな
「どうかしたのか?」
「いや、なんでもない。……これは、その、あれだ。あまりにも君の攻撃が弱すぎて欠伸が出ただけだよ」
「あ~そうかよ酔っぱらい。だったら今日という今日こそはその鼻っ柱をぶっ叩いてやるよ」
「ふふっ、それは楽しみだね〜」
わたしが煽ると、彼は怒りを露わにしながら、道場の中へと入っていった。
「まったく……訓練の途中で寝てしまうなんて久方ぶりだね~。ほんの十日程度でここまで鎧武装を使いこなすなんて……これならいつか、本当にあいつを倒せるようになるかもね~」
期待に胸を膨らませながら、わたしはその目的により現実味をもたせる為、今日も彼をボコりに行く。
いつか来たるその日の為に。
ここまで読んでいただき、誠にありがとうございます。
この小説の作者は基本的にやりたい事をやってみたい性格であるため、今回は出来たら次の日には投稿というアホみたいな事をしています。
その為、書きだめは無く、次話のアイデアも殆ど無いという実質ノープラン状態。結果、不定期更新となります。
こんな馬鹿な作者ですが、読者の皆様方には暖かい目で見守っていただけると幸いです。
次回は年内に投稿したいと鉄火市です。
次章は来年に投稿するとして、その前に章終わりの日記出して今章は終わりにする予定です。
絶対短かろうと年末29日までには出したい!




