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第6話:巨大な蛇だろうがなんだろうがかかってこいや!!(4)

 前回のあらすじ。

 恭弥は目の前で喧嘩を始めた子ども達をその身から発する圧で止め、結果なんやかんやでアルフィーに懐かれてしまう。

 その一方、フェンネルから連絡が来ないことに、ソフィアは不安を顕にしていた。 

 


 海原恭弥(かいばら きょうや)伊佐敷遥斗(いさしき はると)、そしてソフィアの三人が向かったのは、ファクトリ村に一軒しか無い鍛冶屋であった。

 他の家屋よりも大きく頑強そうなその建物の前には看板があり、そこには『ガンツの工房』と書かれており、その下には日本語で『雷堂モーターズ ファクトリ店』とマジックで書かれてあった。


「修のやつ、また看板に自分家(じぶんち)の店名書いてんのかよ。この前ガンツさんに怒鳴られてなかったか?」

「もう何度目なんだろうね。別に僕に被害無いしどうでもいいんだけどね」


 そんなことを笑いながら告げると、遥斗はノックしようと木製の扉に近付いた。すると、家の中から雷堂修(らいどう しゅう)と誰かの話し声が聞こえた。

 修は少し興奮している様子で、もう一人の人物の声も遥斗にはすぐにわかった。

 その嬉しさからか、遥斗はノックを忘れて部屋の扉を勢いよく開けた。


「やっぱりマーリンさんでしたか!」


 急に開け放たれた扉に反応したマーリンの姿を見て、遥斗は露骨に嬉しそうな表情を見せた。


「やぁ、久しぶりだね。かれこれ半月ぶりかな。そっちのキョウヤ君も、思ったより元気そうで良かったよ。一ヶ月も目覚めていないと聞いた時は、加減誤ったかなと本気で心配したからね」

「その節は世話になったな。もう少しで腕の怪我も治るそうだから、治ったらこの前のリベンジマッチをさせてもらうとするわ」

「はは、今度は何ヶ月おねんねするつもりなんだい?」

「そこまでです!」


 恭弥とマーリンの間に漂い始めた一触即発の雰囲気を感じ取ったのか、ソフィアは二人の間に入ると、恭弥に鋭い視線を向けた。


「ここで貴方達二人に暴れられてはここの村民に迷惑がかかります。ご自重ください」

「……チッ、しゃぁねぇか」

「マーリン様もです。まさかまた呑んでるのですか?」

「いやいや、まだ十本だけだよ。村に来る時はシラフでって決めてるからね」

「十本呑んでる時点でシラフじゃねぇけどな」

「シュウ、そこは突っ込んじゃだめだよ。ところでマーリンさんはどのような用事でここに来られたのですか? マサムネの修行はまだ終わってないと聞いていたんですが……」


 遥斗の告げた通り、須賀政宗(すが まさむね)は現在、ラウルスト山岳地帯においてマーリンの下で修行中である。

 他の四人同様、数日程気を失い、ファクトリ村で起きた政宗だったが、彼は自分の身体に異変が無いのをわかるとすぐに立ち上がった。

 スライム戦において一撃必殺であるはずの七天抜刀流の技を受け、なお立ち上がってくる敵と初めて遭遇した政宗は、それが自分はまだ七天抜刀流を物に出来ていないのだと悟った。

 そこで政宗はソフィアに道を尋ね、一人でラウルスト山岳地帯へと向かい、マーリンに土下座して修行をつけてもらうことになったのだった。


「マサムネ君なら結構良い感じだよ。今は山の中腹に生息しているロックエレメントって魔物と戦わせた時に刀が刃こぼれしちゃったから今はガンツさんと奥にいるよ」

「そうだったんですね。だからマーリンさんも工房にいたんですか」

「まぁね、移動ならわたしが移動用のダンジョン作ってるから、それ使えば五分もかからないからね」

「相変わらず便利な能力だね〜。俺っち達を運んだ時に使ったのもそのダンジョンってやつなんでしょ?」

「便利ではあるよ。時間の流れも気温も自由自在だから酒の貯蔵には超便利だし、わたしさえいればここだろうと、山の上だろうとどこにだって作れるし、おまけにダンジョンを壊せば使った魔力も充填可能。強いて言うなら、ダンジョンからダンジョンへと移動するには一回出ないといけないのが難点なくらいかな……って、わたしの話はどうだっていいんだよ。ハルト君達もなにか用事があって来たんだろう?」

「そうなんですけど……ちょっとシュウ、マサムネ呼んで来てくんない?」

「俺っちが? オッケ、ちょい待ってて」


 修は遥斗の頼みをすぐに応じると、奥の部屋へと入っていった。

 そして、一分も経たずに、政宗と共に戻ってきた。


「久しぶりでござるな。恭弥殿も元気そうで良かったでござるよ」

「おう政宗、心配かけたな。今はこの通り元気だ」


 恭弥の元気そうな様子を嬉しそうに見て首肯くと、政宗は遥斗の方に視線を向けた。


「して、拙者に何用でござろう?」

「ギルドでAランクのクエスト受けたんだけどさ、一緒に来てくんない?」

「Aランク?」


 遥斗の発言に引っかかりを感じたのか修が遥斗に訝しむような目を向けた。


「確かギルドのクエストってパーティーの中で一番高い人のランクのクエストまでしか受けれないって話だったよね?」

「そうだね。前にBランクのクエストを受けようとしたら、僕らのランクじゃ受けれないって言われたのを僕も覚えてるよ」

「じゃあなんで受けれてる訳?」

「それは(わたくし)がAランクの冒険者資格を持っているからですよ」

「うっそだ~」


 ソフィアの言葉を嘘だと思っている修を見ても、ソフィアはそういう反応が来るのをわかっていたのか、懐からそれを証明するギルドカードを提示した。


「ファルベレッザ王国の騎士団では、団長と副団長にギルドカードのAランクが授けられます。これは高難度の魔物と対峙した際、ギルドとの交渉を円滑に行う為です」

「まじかよ……」


 未だに信じられないものでも見たかのような表情を向ける修を見て、ソフィアは微かに勝ち誇ったような表情を見せた。


「つまりソフィアがいるから俺達は高難度のクエストを受けられるって訳なんだな」

「そういうことになりますね」

「シュウも納得してくれたみたいだし、クエストの内容を話すね。今回のクエストはジャイアントスネークの討伐。以前、タイチが倒してきたやつと同じやつだね。なんかそいつが暴れてるらしいから緊急で出したんだとさ」

「太一君が倒したやつならまた太一君に任せれば良くない? 前回の蛇も美味しそうに食べてたし、喜んで行くんじゃない?」

「今回は毒茸が沢山ある南のエリアに行くんだよ」

「あ〜ね、そういうことね。よくわかったわ」


 以前太一が毒茸を食べ意識不明になったことを知っている修は、遥斗の一言ですべてを察した。


「そのクエストってさ、俺っちも行った方がいいってことだよね? さっきこの怪力おばさんと話して思いついたアイデアで、面白い武器の作成に取り掛かろうと思ってたんだけど」

「怪力おばさんと言ったシュウ君は後で埋めるとして、さっきの話はあくまで君の実力如何だよ。やろうと思えばその武器でもやることは可能なはずだ。まぁ精密なコントロールは必要だがね」

「ふ~ん。だったら試しに改造釘打機(こいつ)でやってみるか。どうせ調整はしとかねぇといけねぇしな」

「それがいいだろうね。それと、マサムネ君は今回のミッションには必要なのかい?」

「居てくれると助かるんですが、来れるか、マサムネ?」

「すまない。協力したいのは山々なのでござるが、刀の手入れに一日要するらしく、すぐには行けぬでござるよ」

「刀が無いならそこら辺にある剣でも使えば? おっさんもわかってくれるっしょ?」

「日本刀以外の剣は浮気と同義」

「うっわ、めんどくせぇ。別に使えりゃなんでも良いと思うんだけどな〜」

「修殿の考えは修殿の考えであるが故、何も言わぬ。だが、拙者にも譲れぬものがあるでござるよ」

「ふ~ん」


 修が不機嫌そうに発した瞬間、修は強烈な悪寒を感じ取り、すぐに恭弥の方へと向いた。 

 見れば、威圧的な眼でこちらを見る恭弥の姿があった。


「修、今回は俺と遥斗、そしてお前の三人で行く。いいな?」


 少しでも言葉を誤れば殺されてしまうのではないかと思える程の圧に、修の額から汗が零れ落ちる。

 そして、修は大きく息を吐いた。


「オーケーリーダー。リーダーの意向は絶対だ。もう何も言わないよ。悪かったねマサムネ」

「こちらも、我儘を言ってすまぬな」


 修と政宗がお互いに謝ったのを見ると、恭弥から放たれていた圧が一瞬で消え去り、空気を読んで黙っていた遥斗が口を開いた。


「それじゃあマサムネとタイチは留守を頼むよ。シュウ、一時間後に村の入口に集合な。ちゃんと遅れずに来いよ。それではマーリンさん、また今度会いましょう」


 それを告げると、遥斗は恭弥、ソフィアの両名と共に工房を後にした。


 ここまで読んでいただき、誠にありがとうございます。

 この小説の作者は基本的にやりたい事をやってみたい性格であるため、今回は出来たら次の日には投稿というアホみたいな事をしています。

 その為、書きだめは無く、次話のアイデアも殆ど無いという実質ノープラン状態。結果、不定期更新となります。

 こんな馬鹿な作者ですが、読者の皆様方には暖かい目で見守っていただけると幸いです。


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