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第5話:騎士団全員だろうがなんだろうがかかってこいや!!(5)

 前回のあらすじ。

 二階で待ち構えていたフィルの霊装によって苦戦するも、政宗は晴天の型、晴円烈火でフィルを撃破。



 三階にあるという騎士団長の部屋を目指し、海原恭弥(かいばら きょうや)雷堂修(らいどう しゅう)山川太一(やまかわ たいち)伊佐敷遥斗(いさしき はると)須賀政宗(すが まさむね)、そしてフューイの六人は、道中にいた騎士達を薙ぎ倒しつつも、三階へと上がる階段の前になんとか到着した。

 体力の有り余っていた恭弥はそのまま階段を上ろうとしたのだが、それを遥斗が止めた。


「キョウヤ、そこでストップだ」

「どうかしたのか?」


 振り返ったことで、恭弥も遥斗の言いたいことをすぐに理解した。

 太一が床にへばりついたように倒れていたからだ。


「太一が限界か。そういやここまでほとんど走りっぱなしだったな」

「倒した連中が追ってくる可能性が高いから急ぎたいんだけど、こうなったタイチは梃子でも動かないからな~」


 後ろを見れば、フューイも肩で息をしていた。

 騎士団本部はかなり広々とした空間で、階段も他には存在しない為、かなりの距離を走ることを強いられていた。

 身体が重く、ただでさえ走るのが苦手な太一にとっては最大の敵と言ってもいいだろう。


「ほらほら太一君、あと一階なんだから頑張んなよ〜」

「…………」

「こりゃだめだ。まじで限界なやつだね。どうすんの恭弥君?」

「休憩するしかねぇだろ。この階段結構なげぇし、太一担ぎながらじゃ上れる気しねぇだろ」

「確かに無理だね〜。五分くらい休憩にする?」

「そうだな。遥斗と政宗もそれでいいか?」

「もちろんオッケーだよ」

「拙者も構わぬでござるよ」


 遥斗と政宗が了承したことで、六人はその場で暫く休むことにした。

 休み始めて二分程が経過した頃、フューイが意を決したように階段で座る恭弥の元を訪ねた。


「キョウヤさん、一つ聞いてもいいですか?」

「どうした?」

「キョウヤさんは前に、自分の技は昔やってたボクシングを参考にしているって言ってましたよね?」


 それは数日前、フューイの兄弟であるロイドとノエルを助けた次の日に色々と聞かれた時に答えた内容であった。

 恭弥は、そういえばそんなことも言ったような、とでも言いたげな表情を浮かべ、その質問に首肯(うなず)いた。


「ああ、それがどうかしたか?」

「なんで……強くなろうと思ったんですか?」


 フューイの質問で少しの間が出来る。

 首をひねり、答えを出し渋っている様子の恭弥の答えを、ただ黙ってフューイは待った。


「なんで、か……それは答えるのが難しいな……そりゃ最初は親父みたいなプロボクサーを目指してたが、今は違うしな……一言で言うなら、俺がこいつらのリーダーだから、かな?」

「リーダーだから、ですか?」

「ああ、俺は別にこいつらの強さに惚れ込んでチームに誘った訳じゃねぇ。俺が一緒に居て楽しいと、そう思える連中を仲間にしたんだ。だから、そんな俺の仲間を無くさないように、俺は強くあらなくちゃいけない。つまりはそういうこった」

「なるほど、それが君の強さの源という訳か。フェンネルが気に入る訳だ」


 突然、後方からこの場の誰でもない声が聞こえ、恭弥は後ろを振り向きながら、その人物に向かって構えた。

 恭弥達が鋭い睨みを効かせる静寂の中に、ゆっくりと降りてくる足音が一つ。


「……なるほど、騎士団の連中と戦えってことはあんたとも戦わなくちゃならないんだな。こりゃ厳しそうだ」


 強固な鋼で作られた白銀色の甲冑に身を包み、大柄な体躯を上回る盾を担ぎながらも涼しい顔で降りてくるその人物を見て、恭弥は苦虫を噛み潰したような表情を見せた。

 そして、男は恭弥達を見渡し、自慢の髭を撫でる。


「ふむ……初めましての者もいるようじゃな。それでは騎士として名乗っておこう。わしは甲冑騎士団第一大隊隊長、メフィラス・アドマレークじゃ。よく覚えておくといい」


 これまでとは比にならない程の威圧感を前に、政宗が腰の鞘に手をかけるが、それを手で制したのは遥斗だった。


「やめといた方がいい。晴円烈火を打ってまだ身体の痛みが抜けきってないんだろ? そんな状態で勝てる人じゃない」 


 遥斗の表情から嘘偽りを感じられなかった政宗は、おとなしく身を引いた。


「いやはや、お前さんらには驚かされてばかりじゃ。ここまで多くの騎士が待機しておっただろうに、ほとんど無傷ではないか。こりゃ終わったら明日から訓練は倍にせんといかんな」

「それならあんたの訓練も倍にしないといけなくなるな」

「わし個人としてはそれでも別に構わんが、残念ながらそれはないな」

「流石の自信って訳だ。俺もあんたに勝つには結構頑張らないといけなさそうだしな」


 恭弥の殺気が徐々に鋭さを増していき、一触即発の状況に陥った次の瞬間、メフィラスは不敵な笑みを形作った。


「そう早合点するんじゃない」


 メフィラスの言葉に恭弥と遥斗が違和感を覚えた瞬間、メフィラスは信じられないような行動を取った。

 何故か恭弥達に道を譲るかのように、階段の端に寄ったのだ。


「……なんのつもりだ?」


 先程よりも更に鋭さを増した殺気がメフィラスに向けられるが、当の本人は信じられないほど落ち着き払っていた。


「わしはもう歳じゃからな。若いもんと遊ぶ体力なんて無いんじゃよ。ほれ、先に行きなさい」

「ふざけっ――」

「待てキョウヤ!」


 恭弥がメフィラスに殴りかかろうとした瞬間、恭弥の肩が遥斗に掴まれた。


「なにすんだ!」

「落ち着けキョウヤ! 相手の術中にはまるな! ここで時間を稼がれて応援が来たら武器が乏しいこっちの方が不利なんだぞ!!」

「だけどよ!!」

「わかってる。でも、状況が状況だ。ここは敵陣ど真ん中。武器はマサムネ以外は急拵え。敵は完全装備に修練で鍛え上げられた肉体を持っている! タイチもダウンしている以上、これ以上の戦闘は出来る限り避けておきたい。戦いたいなら左手が完治した後に好きなだけやればいいだろ。ここは提案に乗ろう」


 遥斗の言葉で恭弥は歯を軋らせながらメフィラスを睨むが、それすらもメフィラスは意に介した様子を見せない。


「……くそっ……わかった。お前ら、行くぞ」

「それで良い。わしの気分が変わらんうちに早く行きなさい」


 自分の横を通り過ぎていく恭弥達にそんなことを言いながらも、その視線は動かず二階の廊下を向いたままのメフィラス。

 そんなメフィラスに違和感を覚えつつも、遥斗は最後尾で階段を上り始めた。

 やがて、恭弥達が階段を上り終え、廊下を駆ける音が遠ざかっていくのを確認した後、メフィラスは再び口を開いた。


「お前さんらまで通っていいと言った覚えは無いぞ」


 メフィラスの周囲には誰もいない。

 しかし、メフィラスの目は、まるで確信があるかのようにずっと一点を見つめたままだった。


「もういい加減姿を現したらどうじゃ? そこに隠れとるのはわかっとるのだぞ?」


 メフィラス以外誰もいない空間が微かにざわつく。

 それから数秒と経たずに、突然どこからともなく十人程の黒装束の男達が現れた。

 その手には刀身の低い短刀が握られており、隠しきれない殺気をメフィラスに向けていた。


「まったく、歴史ある甲冑騎士団の本部を土足で歩きまわりおって、どうせお前さんら、あの王弟殿下の差金じゃろ? まったく、王弟殿下にも困ったものじゃ」


 メフィラスの言葉に動揺を誘われ、男達は短刀を握る手に力を込めた。

 次の瞬間、先程までとは比にならないような威圧感が空間を支配した。


「お前さんらは運が良い。他の者なら尋問して背後関係を洗うのじゃろうが、わしはその必要をしとらんからな。一思いに楽にしてやろう」


 髭を撫で、ほくそ笑むメフィラスの姿が、まるで自分よりも何倍もある怪物の姿に錯覚してしまう程の威圧。

 男達はその場を離脱しようと考え、足の先を動かそうとするが、その行為は全て無駄に終わるのだった。


 ◆ ◆ ◆


 三階に辿り着いた恭弥達の前にも、多くの騎士達が待機しており、ここから先へは絶対に通さないという固い決意は見受けられたが、途中にいたフィルやメフィラス程の強さを持つ騎士は居らず、怒りに燃える恭弥の敵にはならなかった。

 やがて、最後の一人が倒れた頃には、廊下の先は無くなり、一つの扉しか存在しなかった。


「修、ここか?」

「うん。間違いないよ。ここの扉開いたらあの団長さんに見つかったし。字は読めないけど団長室で間違いないんじゃないかな」

「フューイが指定されていた場所もここか?」

「あっ、はい! ここで間違いないです」

「そうか。なら行くぞ」


 未だに怒りが残っている様子の恭弥は、その威厳ある扉をノックもせずに開けた。

 すると、扉が開いた先から聞き覚えのある声がかけられた。


「おっ、もう来たのか。思ったより早かったな」


 声をかけてきたのは、恭弥がよく知る人物だった。

 燃えるような赤い髪をかきあげ、幾何学模様の絨毯の上に立っていたフェンネルに、恭弥は何の遠慮も無しに詰め寄っていく。


「おいフェンネル、フューイを巻き込むたぁ、いったいどういうつもりだ?」

「はっはっは、それが自分達を捕らえていた騎士団の長に向けての最初のセリフか?」


 フェンネルは笑うが、恭弥の表情に笑顔はない。それを見て、フェンネルも表情を改めた。


「悪かったよ。だが、これ以外に方法が無かったんだよ。時間さえありゃなんとかなったかもしれないが、いかんせんキョウヤ達が面倒な奴の恨みを買ってたからな。多目に見てくれ。それに、どうせ一緒に連れて行くんだろ?」

「なんの話だ?」

「あぁ……なんだまだ言って無かったのかい? てっきり伝えてあるものだと思っていたんだが」


 フェンネルが向ける視線の先には、なにか言い淀んでいる様子のフューイの姿があり、フェンネルは納得がいったような表情を見せた。


「なるほどなるほど。まぁ、君にとっては言い出しにくい話だったかもしれないな。なら俺から言わせてもらおう。まず最初に言わせてもらうが、キョウヤ、お前達五人をこの国に置いて置くことは出来ない。理由はわかっていると思うが、お前達はこのファルベレッザ王国の王様と貴族達を大勢半殺しにした。幸い、死者は居ないが、王様に関しては目を覚ましていない状態にある。ここまでに異論は?」

「まぁ、そうだろうなって話はしていたし、特にねぇな」

「本来であれば、お前達の修練は俺が監督することになっていたんだが、残念ながらそれも出来ない状態だ。そんな訳で、今からお前達を俺の師匠が居る場所に送らせてもらうことにした」

「フェンネルの師匠? ……そいつはちょっと興味があるな」

「既に遣いを出して今回の件は伝えてあるが、本来なら絶対におすすめしない選択だったんだ。なんなら処刑されて死んだ方がマシだったと感じるかもしれないが、まぁ……我慢してくれ」

「そこまでなのかよ」

「一つ聞きたい」


 辛そうな記憶を思い出してしまったのか気疲れしたような表情を見せたフェンネルに、遥斗が手を挙げた。


「僕はあんたの能力がどういうのかはなんとなく予想しているけど、そこに僕らを連れて行くことは可能なのか? 話的に国外なんだろう?」

「確かに何の用意も無しにあんな遠い所まで行くのは無理だ。だが、あそこには俺がポイントをつけている。ポイントさえあればどんなに遠かろうが何人いようが魔力の減少は多くない。お前達はただこの絨毯の上に立って師匠が酒を飲んでいないことを祈っていればそれでいい」

「その師匠って酒乱なのかよ……まぁいいや。なんとなくわかったよ」


 遥斗以外の面々はフェンネルの話をいまいち理解しきれていない様子だったが、肝心の遥斗は寧ろ納得がいったというような表情を見せた為、フェンネルは特に気にしないことにし、話を再開した。


「話を戻そう。例の魔人との戦いで君達は魔人との実力差がよくわかったことだと思う。これから先、生半可な鍛錬じゃ、あの魔人達には勝てないということを」


 フェンネルの言葉で恭弥だけでなく太一とフューイ以外の四人は苦々しい表情になった。 

 そんな恭弥達を見て、フェンネルは言葉を続けた。


「そこで君達五人にはこの世界に眠る五体の大精霊と契約してもらうことを目標としてもらう」

「……大精霊?」

「そうだ。いにしえの勇者に力を貸し、魔王を封印に追い込むための大きな力となった神聖な存在。彼女達はこの世界の人間には決して力を貸さないが、同じ勇者の君達になら、魔王を倒す為に力を貸してもらえるかもしれない。上の連中はそう思ってお前達を別の世界から召喚したんだ」

「勝手な話だ。そんなことの為に僕達の都合を無視して呼び出したのか……」

「ちなみに伝承だと大精霊達はどれも絶世の美女だという話だそうだ」

「キョウヤ!! 是非彼らに協力しよう!!!!」


 目を爛々と輝かせて恭弥の手を握る遥斗に、恭弥はなにか言いたげな目を向けるが、それを吐き出すように大きな溜め息を吐いた。


「しゃあねぇ、今更なに言ったところで前の世界に戻れる訳じゃねぇんだ。その大精霊とやらと契約して魔王ぶっ飛ばしてさっさと元の世界に戻るか」

「拙者は元よりあの男に負けたまま帰るつもりはござらぬ」

「そうそう、むかつくもんね〜」

「僕ちんもご飯がお腹いっぱい食べれるならなんでもいいよ〜」


 政宗、修、太一の賛同が得られ、恭弥は改めて、フェンネルの方を向いた。


「そういう訳だ。俺だって負けたまま帰ったんじゃ向こうで笑われかねねぇからな。地獄の特訓だろうがなんだろうが受けてやるよ。だが、それにフューイを巻き込む必要はねぇだろ。そもそもフューイを今回の脱獄に参加させずとも俺らは自力で出れた。巻き込む必要なんて無かっただろうが」

「そういう訳にはいかないんだよ。フューイ君には今回、人質の役目を担ってもらう。俺は君という一般市民を盾にされて仕方なく海外逃亡をさせるしか無かった、という言い訳の為にね。だから、彼には君達の素性も話してある。問題ないだろ?」

「それは別にどうでもいいが……」

「あの!」


 フェンネルと恭弥の会話に声をあげる形で割り込んだフューイに、全員の視線が集まる。

 その視線に尻込みしながらも、フューイは意を決したように言葉を紡いだ。


「そのことなんですが……俺はこの人達と一緒には行けません!」


 フューイの発言に皆それぞれ思うところはあったようだが、一番驚いていたのはフェンネルだった。


「ん? あれ? 昨日は是非一緒に行かせて欲しいって言って無かったかい? もしかして家族のことが心配なのかい? それなら前にも言ったが、騎士団長として三人は責任を持って保護するが……」

「いえ、そういうことじゃないんです。俺が悪いんです……」

「どういうことかな?」


 俯き、悔しさが滲み出ていたフューイの顔を見て、フェンネルは優しく声をかけた。


「俺なんかじゃ足手まといになるって……今日の戦いを見てよくわかりました。わがまま言ってすみません」


 フューイの言葉を聞いたフェンネルは少し悩んだ素振りを見せると、その目を恭弥の方に向けた。

 そんなフェンネルの意図を、恭弥はすぐに理解し、フューイの方に顔を向けた。


「フューイ、さっきも言ったように、俺はこいつらが強いから仲間にした訳じゃねぇんだぞ? こいつらを気に入ったから仲間にしたんだ。それはお前に対しても言える。お前が弱かろうとどうだろうと俺達は気にしねぇ。それでも一緒に来ないのか?」

「はい……いえ、本当は迷ってるんです。キョウヤさん達が村にいた間、毎日が楽しくて、客の来ない宿屋の手伝いをしていたあの頃が遠い昔のように楽しくて……本当はずっとあなた達と一緒に居たいんです。でも、それじゃあ駄目なんです。きっと、これからキョウヤさん達が歩んでいく道には多くの試練があって、多くの困難がある。その度に俺は、キョウヤさん達に守られるんでしょう。そして、その度に今日みたいな歯痒い気持ちになるんです。だから、俺はここに残ります。ここに残って絶対強くなってみせます。だから、いつか再会した時、もう一度仲間に誘ってはくれませんか?」


 フューイの目から流れ落ちていく涙を見て、恭弥は拳を強く握りしめた。だが、すぐに拳を緩め、フューイの胸に突きだす。


「もちろんだ。絶対また誘ってやるから、次も同じ理由で断ったらぶん殴るからな」

「……あはは、それは勘弁ですね」


 フューイは止まらない涙を拭いながら、恭弥に対して笑顔で笑った。

 

「フューイ君」

「ハルトさん」


 後ろから声をかけられ、フューイが振り向くと、そこには少し気まずそうに頬をかく遥斗の姿があった。


「シャルフィーラさんにごめんって謝っといたと伝えといてくれないかな。僕はもう会えそうにないみたいだし」

「わかりました。ハルトさんも、俺の願いを聞き届けてくれてありがとうございました!」


 突然直角に頭を下げたフューイに目を見開く遥斗。だが、すぐにフューイの言いたいことを理解したようで、遥斗は聞こえるように大きく溜め息を吐いた。


「言っただろ。フューイ君の為じゃないって。僕は僕の意思でシャルフィーラさんとは一緒にならないと決めたんだ。だから変に気負うんじゃない。……いいか、僕にあんだけのことを言ったんだ。ちゃんと僕の代わりにシャルフィーラさんを守ってやれよ」

「はい!」


 肩に手を置かれ、フューイは遥斗に向かって下げていた頭を戻そうとした。次の瞬間、後ろから乗っかられるように抱きつかれた。


「そっか〜残念だな〜」

「シュウさん!?」

「せっかくフューイ君と旅が出来るって楽しみにしてたのにな〜」

「す……すみません……」

「いいんだよ。そんなことよりちゃんとお兄ちゃんとしてロイド君とノエルちゃんを守ってやんなよ〜。次会った時、二人が無事じゃなかったら承知しないかんな〜」

「はい。家族は俺が絶対に守ります!」

「その言葉忘れんなよ〜」


 フューイの言葉を嬉しそうな表情で聞くと、修はフューイを解放し、既に待機していた四人の元へと向かっていった。

 すると、絨毯に描かれていた幾何学模様が光を放ち始めた。


「それじゃあお前ら、せいぜい死なないように頑張れよ」

「当たり前だ。フェンネルこそ、次会った時に弱くなってたら承知しねぇからな」

「へいへい。だったら俺がじじいになる前にはちゃんと戻ってこいよ」

「ああ、待ってろ。すぐに戻ってきて、てめぇをぶっ倒してやるよ」

「ふっ、それじゃあその時を楽しみにしといてやるよ」


 恭弥達の耳に、指を鳴らす音が届くと同時に、足元の幾何学模様が一際輝きを放ち、部屋を一瞬にして飲み込んだ。


「やっぱりあの人は来ませんでしたか」


 聞き覚えのある声が聞こえ、恭弥達はゆっくりと目を開けた。

 そこは先程までいた部屋とは一転、広大な岩山の大地となっており、その場に似つかわしくない女性の姿が一つ。


「ようこそおいでくださいました勇者一行様、(わたくし)はあのアホ団長に案内に強制的に任じられたソフィア・ベルド・ファルマイベスと申します。以後お見知り置きください」


 不満と怒りが隠しきれていない声音で、ソフィアは深々と恭弥達にお辞儀した。


 ここまで読んでいただき、誠にありがとうございます。

 この小説の作者は基本的にやりたい事をやってみたい性格であるため、今回は出来たら次の日には投稿というアホみたいな事をしています。

 その為、書きだめは無く、次話のアイデアも殆ど無いという実質ノープラン状態。結果、不定期更新となります。

 こんな馬鹿な作者ですが、読者の皆様方には暖かい目で見守っていただけると幸いです。

 もし続きが気になるって方がいれば、応援メッセージに「続きまだですか?」とでも送ってください。 


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