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第86話 由依ー俊平ちゃんを旗印にして鼓舞する策?むり


「ゴミ掃除に行ってくる」


 私たちは領主邸にて佐之助が探知した知的生命体の排除を行う。

 このタイミングで攻めてくるのは、十中八九、魔人だ。


「まって由依。ゴミ掃除って、どういうこと? 西村くんの言ってる知的生命体をってこと?」

「ふむ………こんなタイミングで来るのはほぼ間違いなく魔人じゃろう。」


 いまいち状況を分かっていないユカリコ。

 わかるんだよなぁ。

 イレギュラーは突発的に、断続的に、連続しておこるんだ。

 タエコちゃんの方は経験からくる予測かな。


「やっぱり、僕が飲酒(おんじゅ)のドリンキーとかいう魔人幹部を倒したからだよね………」


と、しょんぼりしながら言う俊平ちゃん。

まあ、たしかに俊平ちゃんが敵幹部を撃破したことによる偵察もしくは進撃の可能性が高い。

でもさ


「倒すこと自体にはなんの問題もないっぜい。」

「そうそう。結局魔王様の幹部は結局倒さないといけないんだからそんなもんタイミング次第だよ、俊平ちゃん」


私たちの気持ちを佐之助が代弁してくれた。

敵幹部なんかは倒してなんぼ。


倒していかないとみんなが元の世界に帰れる機会が遠のくからね。

まあ、実際には死んだら戻るけど。


とはいえ、今の俊平ちゃんは不死のため死なないから元の世界に戻すのが難しい。

タツルに頼めばなんかうまいことわーってやってどうにかなるかもしれないけど、最終手段だ。

正規ルートの攻略も忘れないようにしないとね。


「領主さま。街のものの武装と避難状況はどうなっておる?」


 タエコちゃんがそう聞いたけど、あれ? いたっけ?騎士の統制中だった気が………。

 と思ったら、部屋に入ってきたところだった。


 どうやらタツルのお陰で少しだけ時間が出来て、領主様が一時的に館の指揮も取るために戻ってきたみたいだ。

 なんとタイミングのいい。


 そのタツルが時間を稼いで魔人の策略かなにかにより侵攻してきた獣人たちを眠らせている間にこの街の武装と非戦闘員の避難を完了させないと、この街が火の海になってしまう。


 タツルの相手を眠らせる魔法が切れるまで1時間という話だし、悠長にはしていられない。


 それを心配してか、タエコちゃんが領主様に聞いたところによると


「8割方完了しておる。防衛に残しておいたものを除き、私兵団と常駐騎士、冒険者たちとともに南門から出て西へと向かう。街中での戦闘は極力避けたいのでな。」


「よし。ならば獣人たちとの戦闘はこの地のものたちに任せよう。ワシらはエデン湖に行くとしよう。そっちの方がより深刻そうじゃからのう」


 タエコちゃんが獰猛に笑う。

 なにやら思惑がありそう。


 そもそもこの街にいる人たちのほとんどは魔王軍襲来を知らせる鐘の音を聞いて準備をしている。

 冒険者ギルドのギルド長などからも、今後どのような動きをするのか指示が回っているはずだし、わたしたちが領主邸にいることの方がイレギュラーなのかもしれない。


 さすがに街の人たちの避難は進んでてくれないとこちらが困る。


「ほな、ワイら勇者組はエデン湖へ向かうか。」


 凄腕マジシャンである加藤消吾も勇者としてかなりの実力をつけてきている。

 普段はアイテムボックスの荷物持ちとして軍に重宝されている存在ではあるものの、あまり勇者としての役割は大きくない。


 もちろん、アイテムボックスはまじで素晴らしい能力だ。

 私たちが夢で手に入れたアイテムボックスや空間収納、タツルの影収納なんかよりもよほど容量があっていまだに底がみえないんだもの。


 ショウゴがエデン湖に向かうと言ったことに、勇者組は頷いた。


「あの、シュンペイ様はどうなさったらいいのでしょうか………。」


 そこで疑問を呈したのが、領主の娘であり、俊平ちゃんが助け出し、さらに神様にもなってしまう元凶を作った女の子。ジャニスだ。



「どう、とは?」


 鉄太がジャニスと俊平を見比べて首を捻る。


「あの、この街ではすでにシュンペイ様は白の神子様として神聖視されております。街の方に行って冒険者たちなどを鼓舞してもらうことなどは可能なのでしょうか?」


 そう。この街にとっては、俊平ちゃんはブルードラゴンの生贄の恐怖から救ってくれた英雄であり、魔王軍幹部である飲酒(おんじゅ)のドリンキーを倒した張本人であり、エデン湖の地形を変え、半分を酒に変えてしまった奇跡の存在でもある。

 文字にするとまじで意味不明な功績だな。


 でもさ。


「あ………。その問題もありましたね。でも、エデン湖ってもう目と鼻の先ですよね? そんな鼓舞する時間なんてないよ。そこに大量の魔人が現れたということであれば、もはや一刻の猶予もないってことじゃないかしら」


 ユカリコが引き継いで切れた。

 そう。エデン湖なんて、目と鼻の先。

 タツルが大橋のある街でタロウとヒロユキを見つけるよりも早く、こちらの方が早く問題が起きてしまったのだから。


「わたしは行くよ。言ったでしょ。ゴミ掃除に行くって。そこから先のことは領主様たちが考えてください。佐之助。エデン湖のようすは?」


「合計100人くらいだっぜぃ」


「あちゃー………。さすがに数が多いね。数は力だから、勇者数名で対処するのは難しそうだ。こっちにも人員が欲しい。領主様、お願いできますか?」


「うむ。エデン湖にも人員を割こう。」


 領主さまが頷いてくれたので、安心して先行することにしよう。



 領主さまだってこの非常事態に情報が錯綜して、あちこちでてんやわんやになっているのを鎮めるため、苦労しているのだ。

 私達だけに時間を使ってもらうのは他の皆様にも申し訳が無い。


「あの、樹くんがひとまず時間を稼いでくれたから、エデン湖を優先した方がいい気がします」


 と、俊平ちゃんが意見したことで、それも確かに。となったので、俊平ちゃんもエデン湖へ出発する運びとなった。



あとがき


次回予告


【 ●●●●●●襲来 】


お楽しみに

読んでみて続きが気になる、気にならないけどとりあえず最後まで読める程度には面白かった

と思ってくださる方は

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