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第83話 樹ー討伐が目的じゃないから面倒



「うぉおおおおおお!!!」

「邪魔だ! 死ね!!」


理性を失った獣人たちの大集団を前に、声を張り上げても静止を促してもレスポンスは「殺せ」しかない。

相手も興奮状態にある。


全面に速度低下のデバフを行なってもそれを殺しながら進んでくる。

空から来る外敵は、同じく空を飛べる田中が対応しているから問題ない。

田中自身が自分でやると言ったのだから、自分一人でやり遂げるだろう


で、あるならば、俺がやるべきは大量に押し寄せる獣人たちを一掃する事。


しかし、魔人族に脅される也操られるなりしていそうな彼らをどうにかするのは良心が痛む。

俺がやらなければならない事は、相手勢力の無力化。


討伐する事ではないのだ。


できることは限られるが、それでも、俺はそれをしないといけない


俺の能力は夢を旅して、その夢で得た経験、知識、能力、異能、スキルその他いろいろを使うことが出来る能力だ。

 経験値としてレベルに反映されるものの、スキルなどはステータスに反映されない。


 しかし、覚えている。

 今までの夢で得た経験を。

 あまたの世界を救い、あるいは壊し、シナリオをぶっ潰した経験があるゆえに。

 どうにかひねり出せる。


 魔物転生だ。

 魔物転生から得た能力。

 以前俺は芋虫の魔物に転生、3か月で大型の蛾の魔虫になったことがある。


 それは成虫になった段階で物語がエタってしまったのか強制的に次の夢に行ってしまったものの

 俺の中には確かにその成長過程で得た能力が存在する。


 毒鱗粉。

 その派生で相手を眠りにいざなう眠り鱗粉を振りまくことが出来たのだ。


 俺は手のひらを上に向けると、その手のひらには灰色の粉が現れる。

 できた。魔物の肉体でなくとも、対応するスキルを発動することはできる。

 

 そして、この世界での俺の魔法の属性は風と火。


 俺は鱗粉のある左手を上に向け、右手を手首に添えるように大行進する獣人たちに向ける。

 かめはめ波のポーズだ。


 右足は引いて横向きに接地。左足はまっすぐに相手へと向け、風の反動を受ける形にする。


 いくぞーーー


突風(ブラスト)



 ビュウウ!!


 という、鱗粉を含んだ銀色の風が吹きすさぶ。


 鱗粉の生成と魔法の発動をとめない



「なんだ、この風、この粉ァ!」

「知るか、殺せ!!」

「なん、だ、眠く………」



 馬車を引く馬や大熊、

 大柄な虎獣人、狼獣人、熊獣人など、かなりの数が入り乱れている。


「はは、災害クラスの魔物にまで成長して手に入れた力だぜ。抗えるわけがねえ。」



 俺はロマンボードで時折距離を確保しながら、行軍を行う獣人たちに鱗粉を浴びせ続ける。

 敵の数はおよそ8000。


 これをどうにかできちまう俺は、本当に化け物なんだろうな。


 ケンタウロスや魔獣なんかも眠らせていく。

 さすがに魔獣だけを殺すような器用な真似はできないが、今の目的は時間稼ぎだ。



『樹よ。聞こえておるか』


 鱗粉を振りまきつづけていると、俺の胸ポケットから妙子の声が聞こえて来た。

 まーた謎の陰陽技でこっちに連絡付けて来やがった。


 本当に化け狸ってやつは底が知れねえな


「なんだよ妙子おばーちゃん。用事か?」

『うむ。首尾はどうじゃ?』


 俺は鱗粉を振りまく手を止めないまま答える


「あー、うん。とりあえず相手獣人たちを魔法で眠らせてるところ。無力化自体はほぼ済んでる。こいつら、正気じゃねえ。目が狂気に満ちてた。理性とか全部取っ払われたのかもしれん」


『ふむ………。催眠か、人質でも取られたか………。まあよい。佐之助が浩幸と太郎の場所を探知してくれた。二人とも生きておる。』


「お、マジ!?」


 死んだかと思ってた。

 生きているなら万々歳だ。


 田中が上空で鳥人を打ち落とし、俺がそいつらを眠らせて無力化を行うことで、田中と俺の連携を行いながら戦場全体に鱗粉を振りまく。

 立っていられる動くものが少なくなってきた。


 そろそろだな。


『二人とも、大橋のある街に潜んでいるらしい。田中と共に向かってくれるか?』


「いいぞ。勇者たちのピンチには俺が駆け付けてやる。詳しい場所は解らんから佐之介との仲介をたのむな。」


『うむ。任せたぞ。太郎と浩幸の二人とも、浩幸の影繰りで難を逃れた様じゃ。』



 なるほど。おそらくそれで陰に潜み、佐之介は二人の状態が分からずに何も言えなかったんだな。


「妙子。俺は眠らせたこいつらを放置していかないといけない。たぶん、1時間も有れば目を覚ましてしまうだろう。魔獣を殺して獣人を捕らえる用意をして欲しい。私兵団でも騎士団でもいい。およそ8000の獣人死兵と魔物たちの大群だ。こっちもさすがに限界がある」


『心得た。領主邸に向かう故、伝えさせてもらうぞい』


 連絡が取れると言うだけで、話しがスムーズになる。

 助かる。


 見れば上空での戦闘を繰り広げていた田中の方も、あらかた処理はすんだ様子。


「田中!! 俺たちは大橋のある町まで向かって太郎と浩幸の救出に向かう!!」


 俺は上空に向かって田中に呼びかけると、田中も最後の魔物、ハーピィの頭をマジカル光線で打ち抜いてからステッキにまたがってこちらにスィーっと降りて来た。


「おっけーにゃ! お客さん。田中のマジカルステッキに乗ってくかにゃ?」

「おう。たのまぁ」


 しばらく由依とはお別れか。





あとがき


 すまねえ

 ずっと更新してなかった。

 どうしても書けなくなってた。

 高校生が入学して卒業するくらい書いてないとは思わなかった。

 とりあえず無理やり1作品完結させて自信つけて、その流れでそのまま1日2000文字無理やり書き続けてちょっとくらいストック作ったから、すこしは毎日投稿できるよ


次回予告


【 告白 】


お楽しみに

読んでみて続きが気になる、気にならないけどとりあえず最後まで読める程度には面白かった

と思ってくださる方は

ブクマと

☆☆☆☆☆ → ★★★★☆(謙虚かよ)をお願いします。(できれば星5ほしいよ)

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