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第47話 由依ーおかえりタツル


「ただまー」

「おかりー」

「おかえりにゃ! 急に現れてびっくりしたけどしっかり樹にゃんのこと忘れていたにゃ!」



 喫茶店でタナカちゃんと無駄に4時間くらいだべっていたらタツルが帰ってきた。



「タツル、実験は成功なの?」


 タツルがこの世界を去る前になにやら実験して、急に消えちゃったけど、タツルがいつ戻ってきてもいいように、タナカちゃんとめちゃくちゃどうでも良い話をしながら4時間くらいずっと時間潰してた。


 どんな話か?

 向こうの世界で最後に見たアニメはなんだったか。

 とか、どんな異世界を冒険したいか? とか。


 まあそんなところ。


「おう。成功も成功。向こうの世界に行き来できるようになった。俺ができたんだから、由依もたぶん同じことできるぞ」

「そうだろうね…………。あとでやりかたふわっと教えて」

「りょー。」



 タツルができることは私もできるはずだ。

 違いといえば、樹はこの世界に生身で来ていること。私はおそらく精神がこちらに来ていて、ここでの肉体は仮初である。

 ということ。


「田中にもほら、お土産持ってきたぞ。パジャマだ」

「にゃにゃ!? 本当に由依にゃんの視界をジャックして覗き見していたのかにゃ!? すごいにゃ! 田中もいつかできるようになるにゃ!」

「城に着いたら渡してやる。」

「紳士にゃ!」


 パチパチと手を叩くタナカちゃん。

 よせやい。モテる男になるために頑張ったんだい。と照れるタツルだけど、モテる必要ないと思う。


「どんなパジャマか見せて欲しいにゃ! 樹にゃんのセンスを拝見にゃ!」

「いいだろう。俺のセンスに恐れ慄け!」


 タツルは暗黒収納からタナカちゃんのパジャマを取り出す。

 あ、いっしょに私のもおそろいで買ってあるみたい。


「本当に俺と由依と同じ能力が覚醒すると思うか?」

「それはやってみないとわからないにゃ。衣装の影響で深く安眠できる能力だとしても、田中に不満はないにゃ!」

「ま、試してみる価値だけはおおいにあるな」



 タナカちゃんに梱包された包みを手渡すと、小さな猫の顔が全体にプリントされたパジャマだ。

 ナイトキャップとアイマスクもついている! なにこれ! かわいい!


「田中といえば猫だと思ってな。コレみたときにビビッときた」

「すばらしいセンスにゃ! 田中は気に入ったにゃ!  恐れ入ったにゃ!」


 どうやらタナカちゃんの及第点は得られたようだ。

 猫耳カチューシャつけてるくらいだし、語尾も猫だし、他のパジャマよりは絶対にコレしかない感があったから猫パジャマだなんだね!


「コスプレパジャマと迷ったけれど、コスプレパジャマだと、そのコスプレの能力になりそうでスタンダードのパジャマにしたんだよな。」


 そっか。


「………。それで、タツル。俊平ちゃんの様子はどうだったの?」


「俊平は、つい今し方、地下のダンジョンを脱出したところだ。」

「ほほう! 詳しく聞かせて欲しい! 俊平ちゃんは無事なんだね?」


 わたしはずずいと詰め寄る。

 タツルってニキビねーなー。


「俊平の写真撮ってきた。みる?」

「「 見る(にゃ)!! 」」


 俊平ちゃんの様子はすごく気になっていたからね! タナカちゃんと一緒にずずいと顔を寄せれば、

 スマホに保存している俊平ちゃんの写真を見せてくれた。

 俊平ちゃんが迷宮から脱出した後のモノリスから歩き去るシーン。


 俊平ちゃんが美味しそうに泣きながら食事をするシーン。なにこれかわいい。



「よかったぁ………ずっと心残りだったんだよね、俊平ちゃんのこと」

「元気そうでよかったにゃ………。さっき言ってた通り俊平にゃんは白髪だにゃ!」


 私とタナカちゃんはほっと胸を撫で下ろす。

 白髪の俊平ちゃんを見ても特に予想したうちの一つだったから驚くこともなかった。


「でもなんかすごくかわいい格好しているにゃ!」

「それな」


 タツルのスマホをのぞきこむタナカちゃんに私はビシ! と両手で指差す。

 まさにそれなんだよ。俊平ちゃんはちっちゃくて可愛いのに、白髪でセミロングで黒のメッシュ入ってて、しかもなんか可愛い格好をしている。

 そりゃあかわいいよ!


「白装束? なにこの白い………和服………?」

「あれ、なんかどっかでみたことあるようにゃ………」

「白無垢って言うらしい。白に赤の刺繍が入っていると、なんかめでたい感じするよな」

「あ、わかる。結婚式とか卒業式とかも紅白幕を立てかけてあるよね」


 へえ、これ白無垢っていうんだ。

 そういやそうだな。あんま気にしてなかったけど、めでたいときには紅白はつきものだ。

 


「俊平は自分が動きやすいように着付けの道具をつけてなかったり足の裾を短くしたりと調整しているみたいだから、改造白無垢ってところかな。女の子が神前挙式で着る衣装らしい」

「あー、それでみたことあったのかにゃ! 田中のお兄ちゃんのお嫁さんが確かに着ていたにゃ! 」


 実は妹属性だったのか、タナカちゃん! 一人っ子だと思ってたぞ。


「神前挙式の後にチャペルで結婚式をあげて、披露宴で何度も可愛いウエディングドレスに着替えていたにゃ! とっても綺麗だったにゃ!」


 いやんいやんと頬に両手を当てて腰を捻るタナカちゃん。

 意外と乙女チックなところあるんだなー。いや、語尾が変なだけでタナカちゃんはずっと乙女だったわ。



 タナカちゃんのお兄さんも田中で、そのお嫁さんも田中になるんだな。

 田中だらけだな。その二人の一人称って、なんなんだろう。


「で、俊平ちゃんはいったいどこにいるの?」

「翻訳の指輪持ってないから、コーデの町のエデン湖で盛大な勘違い系なろうを展開しようとしている。」


 タツルがそういうと、タナカちゃんも私も堪えきれないといった様子で吹き出してしまった。


「にゃははっはー! まさかの勘違い!」

「勘違い系ってタツルが一番好きなやつじゃん!」

「なー! それ知ったときおもっくそ笑ったもん!」



 ケラケラと私とタナカちゃんとタツルの3人で笑う。


「………というわけで、行く? エデン湖」

「もちろんにゃ!」

「そんな面白イベント、行かない方がどうかしているわ!」


 というわけで、次回、エデン湖へ遠征!!














あとがき


佐藤由依はノートに鈴木由依とか書いちゃう程度には乙女チックな子です。


次回予告

【 式神 】


お楽しみに



読んでみて続きが気になる、気にならないけどとりあえず最後まで読める程度には面白かった


と思ってくださる方は

ブクマと

☆☆☆☆☆ → ★★★★☆(謙虚かよ)をお願いします。(できれば星5ほしいよ)



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