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第45話 俊平ー盛大に勘違いされるやつ



「『白の神子………』」

「『白の神子だ………!』」


 俊平が助太刀に入った馬車の護衛が、なにやら遠巻きにこちらを見つめている。



『おや、俊平。なにやら愉快なことになっていそうだぞ』

「んー? ぴゃー! 僕、なにかやっちゃった!?」

『俊平がなにかやったというよりは、格好のせいかな。どうあがいても目立つ格好だろう? それ。』

「………たしかに。あの人たち、なんて言っているの………?」

『わたしもわからん。白がどうとかこうとか………。俊平が白いって言ってるんじゃないかい?』


 あおいは指輪を持っていないとはいえ、大陸の言語を習っていたのは数百年前だ。

 もはやほとんど忘れてしまっている。


 馬車の中から、オレンジいろの髪の女性が出てくる。


「『姫様! お戻りください! ここはまだ危険です』」


 兜を付けた護衛らしき人物による制止を振り切り、オレンジ色の女性が近づいてくる


『ええっと、姫、危険、戻れ………かな』


  同時翻訳であおいがなんとか単語を拾ってくれるものの、やはり言語を把握できる指輪が無いことにはなにもわからない。


「『助けて下さって、ありがとうございます』」


 俊平に対し、お腹に両手を添えて深々と頭を下げるが、どうやら俊平よりは年上らしい。

 見た感じ17~20くらいだろうか。中学生の俊平からすれば、大人の女性だった。


『ありがとうって言ってるよ』


「ど、どういたしまして………。」


「『わたしは、ジャニス・エデン・コーデです。白の神子様、お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?』」


『ジャニスさんだって。たぶん、自己紹介してる。』


「僕は………シュンペイ、です」


 俊平は、ゆっくりと日本語で自己紹介をするが、ベールの女性も俊平の言っていることが聞き取れず、かろうじて名前を言っている事だけはわかったらしい



「『シュンペイさまですね! わたしの街までご一緒致します! どうぞ馬車へ!』」


 俊平の手を握って、ぐいぐいと引っ張るジャニス


「わっわっ!」


 有無を言わさずだっこで馬車に乗せられる俊平。

 いつまでたっても子ども扱いに、ため息しか出なかった。



          ☆




 コーデの街のはずれには、美しい湖があった。名前をエデン湖。

 まるで天国のように美しいとつけられたその湖に、かつて侵略者が現れた。


 異界からの侵略者。群青竜(ブルードラゴン)。水中に特化した竜。


 かつて神が遣わした純白の乙女。白の神子が竜を海底で眠らせることに成功した。

 コーデの街では、純白の神子としてあがめられるようになった。


 しかし、その封印も歳月には叶わない。


 数百年がたち、その結界が緩む時期がある。

 10年に一度、群青竜(ブルードラゴン)は目を覚まし、エデン湖で悪さをするようになり、コーデの街の家には白羽の矢が立てられるようになった。


 白羽の矢が立てられた家の子供を生贄に捧げよ。さすればまた眠りに付こう

 そう言い残した群青竜は、10年の眠りについた。


 10年後、群青竜(ブルードラゴン)は捧げられた子供を食らうと、おとなしく眠りにつくようになった。


 おびえて暮らす街の者を安心させるためか、再び天より白の神子が遣わされた。


 群青竜(ブルードラゴン)を討伐する為に。


 再び現れた白の神子は、様々な異形を操り、あるいは出現させ、群青竜(ブルードラゴン)を赤や橙や青い炎で焼いた。

 

 その際に、エデン湖は広がり、白の神子の御力を授かったエデン湖は澄み渡り、人々を活気づける効果を持つという言い伝えがある。


 だが、白の神子が群青竜(ブルードラゴン)を討伐して白の神子が去り数十年。


 群青竜(ブルードラゴン)の子供が成竜となったころ、再び街に白羽の矢が立てられることになったのだ。


 今年の白羽の矢が立てられたのが、領主の家。つまりコーデ家である。


 コーデ家やコーデの街を救うために現れた純白の神子。

 それこそがシュンペイ様なのではなかろうか。






 とか馬車の中で言われていたが

 言語のわからない俊平とあおいには何言ってるか全然わからなかった。



          ☆



「おいしい! おいしいよぉ!!」 


『数百年ぶりの食事だ! 本当においしい! 俊平も半年ぶりのちゃんとした食事はどうだい?」


「むぐー!」


『聞かんでもわかるな。感覚は共有しているんだ。向こうのお肉も食べてくれないかい。気になっているんだ。』


「もふー!」


 ジャニスに案内された俊平は、盛大な歓待を受けた。

 よくわからないが大きなお屋敷に通されて、ジャニスを救ってくれたお礼といって豪華な食事を食べさせてくれたのだ。


 これで腹ペコからおさらばだ。

 カニバリズムをしなくて済む。


 自食はもうこりごりだ。


 俊平は泣いた。

 泣きながら食べた。


 やっと人の文明らしい生活に戻れたのだ。


 これを泣かずにはいられなかった。



「『ふふっ、すごく喜んでおいでですね、シュンペイさま』」


 一緒の夕食を囲んでいる間に俊平のお腹も速攻で膨れた。


 俊平は小食なのである。


「おいしかった………おいしすぎた………いや、今までがまず過ぎたんだ………」

『わたしももうゲテモノを食さなくて済む………。祝杯を上げよう』

「おさけ飲めないって………」

『安心して、わたしもだ』

「じゃあなんで言ったの」


「『シュンペイ様はいったい誰と話しているのでしょう………?』」

「『神様じゃないですか?』」

「『しらない言葉ですし』」




 こうして、拠点を手に入れた俊平は、与えられた客室で泥のように三日三晩寝て過ごした。


 半年分の疲労を一晩寝ただけで癒せるほど、俊平の肉体も精神も頑丈ではなかった。










あとがき


タツル

「寝ないで! 寝ないで俊平! もっと面白い情報を!」


響子

「これもう私この続きから見る事出来ないやつじゃん!」



ヱリカ

「ジャニスエデ●コーデ………? プ●パラおじさんの無糖推しが沸きそうな名前だってんですよ」


作者はプリ●ラおじさん。

2021年夏から始まるアイドルランドプリパ●が楽しみでならないよ。


次回予告

【 勘違い系は、はたから見るのが一番楽しい 】


お楽しみに



読んでみて続きが気になる、気にならないけどとりあえず最後まで読める程度には面白かった


と思ってくださる方は

ブクマと

☆☆☆☆☆ → ★★★★☆(謙虚かよ)をお願いします。(できれば星5ほしいよ)

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