異常
三話目!
「どうでしたか先生?」
「あぁ、特に問題はないぞ。 ……よし、なら今日はもう上がりにするぞ」
「え、もうっすか?!」
レオが物足りないような声を上げた。みんな声や顔には出していないが、同じ気持ちだろう。
「いいか、俺はお前たちを安全に親御さんのところに送り届ける義務があるんだよ。 だから、危険の伴う行為はある程度抑えないといけないんだよ」
と、心底めんどくさそうに話すアレックス先生。だが心の底では俺たちの安否を第一に考えてくれていることが伝わってくる。
「わかりました。 じゃあみんな、上に戻って反省会をしよう!」
俺は率先して皆にそう声をかけた。
「わかりました」
「ミラトが言うなら戻ろうか」
「仕方ないっすね~」
「わかりましたわ」
と、リリーをきっかけにして、皆納得してくれた。先ほどの先生の話を聞いているし、無理はしない方が得策だろう。
「よし、じゃあ一応ここで解散とする。 上に戻り次第各自自由に帰宅する事」
「「「「「「「「「「はい!」」」」」」」」」」
そして、俺たちは上に戻ってきた。するとそこに別の教員が真っ青な顔をしてそこにいた。あからさまにおかしな様子だったので声をかけようとしたら、先にアレックス先生が声をかけた。
「どうしたんですか、コルン先生」
「あ、アレックス先生! 大変なんです!」
「何があったんですか?」
「市街地に魔物が出現したんです!」
「それは一体『どういうことですか?!』」
先生の話を遮ったのはシンラだった。無理もないだろう。異常事態が自分の国で起きたのだから。
「お、落ち着いてください殿下!」
「は! も、申しわけありません……」
「む、無理もありません」
「それで、具体的にはどういうことですか?」
「詳しいことはギルドの方々に聞いてください。 私は防衛戦力になりうる先生に声をかけてくれと頼まれただけなので」
「あの、先生」
「ダメだ」
シンラは一言そういっただけだが、即座に否定された。
「なぜですか?!」
「当たり前だ、シンファルラの身に何かあったら、騒ぎがさらに大きくなる可能性が高い。 そんなことは先生として容認ができない」
「くっ……」
先生の言っていることももっともだ。みんな忘れ気味だが、シンラはこの国にとって唯一の後継者だ。でもだからといってシンラの気持ちは俺も痛いほどわかる。なので俺は助け舟を出すことにした。
「なら先生」
「どうしたミラト」
「俺がその事件の現場に向かいます」
「そうか、正直凄く助かる」
「そこで、現場にリリーと」
そして俺は軽く間を開け、シンラの方をちらっと見てから、先生の方に向き直り、続きを言い放った。
「シンラを連れて行きます」
先ほども言いましたが、リアタイで見てくださる方々には大変待たせてしまい、申しわけないです。これから、受験なども近づくので、更新率が度々悪くなるとは思いますが、必ず完結はさせますのでご安心ください