不吉な予感
二話目です!
俺たちは戦闘を終えて、第二波がないかを数秒ほど警戒し、特に問題もないようなのでみんなの元に戻った。
「先生、終わりました」
「……」
「先生、どうかしました?」
「ん? あぁ、ちょっとな……とりあえず、次のメンバー、用意してくれ」
「「「「「はい!」」」」」
何やら先生には気になることがあるようだ。俺は、グループの後ろにいる先生に近づき、小さな声で話しかけた。
「先生、どうかしましたか?」
「ん? あ~……見て分かったか?」
「何か考えごとをしていることは」
「まぁ、ミラトなら話しても問題ないか……実はな、兵隊蟻は、もう少し深いところに出る魔物なんだよ」
「そうなんですか?」
「あぁ、このダンジョンのかなり深層に、討伐推奨レベルSの鋼鉄女王蟻がいるとされていてな、その群れの下っ端の下っ端がお前たちがさっき戦った兵隊蟻ってわけだ」
「なるほど」
「それに最近、ダンジョン内でカサカサといった音がいたるところで聞こえたり、地図と実際の地形が変化していたりと何かと問題があるんだよなぁ……」
「何か変なことが起きないといいんですけどね」
「なぁんか嫌な気がするんだよなぁ……」
「そうですか」
「んまぁ、このクラスに限って言えば、ミラトがいるし万が一も起きないだろう」
「いや、そこは先生なんですから『俺が生徒を守る!』的な事言ってくださいよ」
「断る! なんでそんな面倒なことを俺がしなくちゃならんのだ!」
「一応教師なんですから責務くらい果たしてくださいよ」
「え~」
「あ、あのアレックス先生」
「ん? どうしたリリーシャ」
「一応、敵を見つけたのですが……」
「お、ならそっちのグループで決めた作戦を実践してみろ」
「「「「「はい!」」」」」
そして数分後、曲がり角の先に、五匹の兵隊蟻を目視した。休憩中なのか、一か所に集まって微動だにしていない。
「さて、どう戦うのかな」
とつぶやいた途端、リリーシャが魔法を唱えた。
「私が足止めします!【氷縛】!」
兵隊蟻たちの足をリリーシャが見事に凍らした。その間に残りの四人は武器を抜いて、兵隊蟻に向かって動き出していた。
シンラは片手剣で一刀両断していた。
ガネスは持っているレイピアで、器用に装甲の隙間をついていた。突きの軌道からして、恐らく細剣技【蛇突】だろう。この細剣技の特徴は、蛇のように突きの軌道が変化することで、わずかな隙間に攻撃する技術だ。
レオは手に持っている手斧で頭をたたき割っていた。
ミナはミラと同じく、武器の射程が短いので、魔法でサポートに回っているようだ。リリーの魔法が溶けかけたところを補強する立ち回りをしている。
そしてリリーは、双剣術【跳弾の舞】で、二匹仕留めていた。跳弾の舞は、刃で相手に切りつけた後、まるで跳ねたかのように半円を描き、別の相手に攻撃する、複数との戦いに向いた技だ。
そして、次のグループも特に問題なく戦闘を終えた。
もう一話出します!