子龍
「てか、この子龍って種族何なんすかね?」
「それもそうだな……【映し鏡】」
レオに質問されて、俺は映し鏡で子龍のステータスを見た。
種族:魔龍
名前:無し
スキル
魔力適応
龍の息
「希少種の反応があったから、予想はしてたけど、まさか魔龍とはね……」
「魔龍って、あの魔龍か?!」
「う、うん」
シンラがとても慌てて反応してきた。
「魔龍はとにかく厄介なんだ。 土地によっては龍種なんか目じゃないほどにな」
「それは知ってるけど……」
魔龍は子龍のころから共通して【魔力適応】のスキルを持つ。このスキルは周囲の魔力を取り込み、取り込んだ魔力に適応し、進化するというスキルだ。簡単に言えば、炎の魔力を多く取り込めば、炎魔龍に。水の魔力を多く取り込めば水魔龍になる。どの属性になったとしても、魔法の扱いが普通の龍種と天と地ほどの差がある。もちろん魔力の質も関係してくるが。そのためシンラは土地によっては、と表現していたのだ。
「でもこの子龍はまだ属性を持ってないみたいだよ?」
「だが、放置してしまえば必ず脅威になるぞ」
「なら、ミラトが契約すればいいじゃない」
「確かにそれなら万が一のことも起きませんわね」
「アリーシア天才」
「いい考え、アリーシア」
「俺はいいけど……お前はいいのか?」
「キュイ? キュイ!」
質問すると、一回首を傾けたが、その後すぐに高らかに一鳴きした。
「多分いいって」
「こうも簡単に契約できる魔物ではないのだが……」
シンラが頭を抱えてるが、気にしない気にしない。
「んじゃあ行くぞ? 契約」
「キュゥイ!」
子龍の頭に手をかざし、契約を発動すると、あっさりと承認された。
「さてと、【映し鏡】」
ステータスがどうなったか一応確認するために、映し鏡を発動させた。
種族:魔龍
名前:無し
契約者:ミラト=スぺクルム
スキル
魔力適応
龍の息
言語理解
となっていた。
「お、ちゃんと契約できてる」
「ところで、ミラト様。 その子の名前はどうするのですか?」
「そうだなぁ……ミロワールなんてどうかな?」
「キュイ!」
「よろしくな、ミロワール。 いや、ミロ」
「キュイキュゥイ!」
嬉しそうに子龍、ミロは鳴くと、ミラトの頭の上に乗った。
「よし、帰りましょう」
「おい、ミラト」
「なんですか、先生?」
「あの飛竜はどうするんだ?」
「あ、忘れてました」
俺は飛竜を鏡の世界の中にしまって改めて帰ろうとみんなの方を向くと、なぜか呆れていた。
「あれ、帰らないのですか?」
「なあシンラ……ミラトっていつもあの感じなのか?」
「えぇ……」
「え? みんなどうしたの?」
ミロワールはフランス語で鏡という意味があるらしいので、使用しました。