新たな白銀魔法
今頃ですが、【白銀】は、はくぎんと読みます! しろがねと読んでくださった方々、すみません!
「んで、魔法を教えるはいいけど、何が知りたいの?」
「そうっすねぇ~とにかく強い魔法を!」
「駄目」
「えぇ?! なんでっすか?!」
レオが拒否されたことにキレ気味になりながら質問してきた。もちろんちゃんとした理由があるから俺は、拒否したのだ。
「いい? 分不相応な力は、持ち主を傲慢にしてしまう。 そしてその力を振りまくことに抵抗が次第になくなっていき、身を亡ぼす」
「……」
「それに強すぎる力はそれだけ人を、【命】を殺せるという事。 レオ、それにほかの皆にも問うけど、君たちにその覚悟はあるの? 多くの命を奪える力を手にするという覚悟が。 それが強すぎる、分不相応の力を持つという事だよ」
「「「「「「「「…………」」」」」」」」
「少し強く言い過ぎたね、でもそれが事実だよ?」
「そう……っすね……」
「確かに私たちはそこまでできた人間だとは言い切れないわね……」
「ミラト正しい……」
「正しいのはミラト……」
「まぁ、でも何も教えないってわけじゃないよ」
「本当っすか?!」
「うん」
「一体何を?」
「みんなに教えるのは【衝撃】だよ」
「【衝撃】?」
【衝撃】は、純粋な魔力を相手にぶつける技。属性を持たないため、割と簡単の覚えらえる魔法だ。
「この魔法は殺傷能力こそ皆無に近いけど、牽制や無力化、奇襲などいろいろと使える汎用性の高い魔法なんだよ」
ノーモーションで撃ち出すこともできるため、一対一では絶大な効果を発揮する。
「今から詠唱ありで使うから、真似てみてね。 そして目指すは無詠唱ね」
「そんなに簡単にできないのではなくて?」
「皆ならきっとできるよ」
これは強がりとかではなく本音だ。
「じゃあ見てて。 魔力よ集いて我が敵押し飛ばす力となれ【衝撃】」
俺が詠唱すると不可視の塊が近くにあった岩にぶつかった。岩には拳ほどの大きさの窪みができた。
「じゃあみんな頑張ってね」
「あぁ、分かった」
シンラが代表してそう答えた。俺は皆から離れると、リリーの元に向かった。
「じゃあリリー」
「なんでしょうか?」
「新しい白銀魔法を覚えようか」
「はい!」
おおう……すごいうれしそうだな。そんなに覚えたかったのかな? これからはもう少し積極的に教えていこうかな?
「う~ん……にしてもどれを教えようか」
そんなことをつい呟いてしまう。リリーに見合うやつ……。あれならいいかな?
「見ててねリリー」
「はい」
あえて詠唱も今回はするかな。白銀の龍の時はそんな余裕なかったけど。
「我は求む。 白銀の鎧にして白銀の刃よ。 この身に纏いて我を守り抜け。 この手に集いて我の道を阻む物すべてを斬り伏せろ。 美しく佇む術を与えてくれ。 白銀魔法【白銀甲冑】」
そう唱えると、俺を足元から白銀が包み、軽鎧のように体を覆った。
「これが今回教える白銀魔法、【白銀甲冑】。 身を守る鎧にして、身に纏う刃だよ」
そういうと俺は、左腕に白銀を集め、手首から延びるように刃渡り五十センチほどの刃を作った。
「これで……いいかな?」
俺は近くにあった三メートルほどの高さの岩に近づくと、斜めに一閃した。すると岩は何の抵抗もなく斬れていき、激しい土煙を巻き起こしながら、地に着いた。俺は土煙の中からリリーに声をかけた。
「意味が分かったリリー? 自らの思うように変形させることで、鎧にも刃にもなる。 それがこの【白銀甲冑】だよ」
次第に土煙は晴れていき、日差しが俺の身に纏っている白銀の鎧と刃を照らしている。
白銀甲冑
地から白銀を生み出し、身に纏い、鎧のようにするもの。
白銀のため、守備力は高く、思うように変形させれるため移動の邪魔にもならない。
また、作中のように、剣などを作ることで、攻撃も可能。鎧から急に刃を生やしたりなどもできるため、対人戦闘や、乱戦の中で特に活躍する。