復讐
少し口調がおかしいかもしれないと感じる方もいると思いますがそれだけキレてると思ってくださると幸いです。
「俺も混ぜてくれよ」
「な、なんでお前がいるんだよ! お前は死んだはずじゃ……」
「なんだよつれないなぁ。長い間パーティーとして活動してきたじゃないか」
「あんな状態でお前が生きていられるはずなんて……」
こいつらは完全に死んだと思っていたようでかなり動揺している。
さらに揺さぶりをかけていこう。
「それよりさぁ、俺の貯金知らないか?活動拠点を移すのに必要だったんだけど……」
「知……知らねぇよ……な、なぁ……?」
「え、えぇそうよ。しらないわよ!」
「さ、さぁ、何のことかさっぱり……」
と、ネロ、リナ、アナがそう返してきた。白々しい。何年パーティーを組んだと思っているんだ。お前らの癖ぐらいまるわかりだ。
「そうか、ところで妙に羽振りがいいな。あの量のアダマンタイトはやっぱりそれなりに金になったのか?」
「あぁ、そ、そうだな……」
「ふーん。おかしいな、さっき知り合った炎狼の牙が査定してもらった時にはアダマンタイトを見かけなかったと、言ってたぞ」
「さ、さぁ、見間違いじゃないかしら」
こいつらは黒だな。ファナは罪の意識があるらしく暗い顔をしているため見逃してもいいかもしれない。
だが、ネロ、リナ、アナは完全に黒。今も何とかやり過ごそうとしているのが手に取るようにわかる。
「ところでさ」
俺はここで切り込むことにした。周りの冒険者たちもいい具合に野次馬になりつつある。
「俺、鏡魔術師になったんだよね」
「そ、そうか……それはよかった」
と、そんなことをまるで思ってないかのように、上辺だけの言葉を投げかけてきた。昔の俺なら
「ありがとな」
と、返したのかもしれないが今の俺にとっては神経を逆なでされてるようで吐き気がする。
「その中のスキルには【映し鏡】ってのがあるんだけどよ、不思議なことにその鏡は、真実を映し出す鏡らしいんだ」
「ふ、ふーん……それが、どうしたんだい……?」
まだ白を切るのかこいつらは。
「その鏡の前でさっきと同じことが言える?」
と、軽く殺気を出しながら聞くとよりにもよってこいつらは、
「う、うるせぇ! お荷物野郎が! お前は、俺の思い通りになればよかったんだよ!」
「あんたが貯めてたお金もあたしたちの気を満足させるために使われたんだからきっと本望よ! むしろ感謝しなさいよ! 『使ってくださり感謝いたします』って!」
はぁ?こいつら言っていることが滅茶苦茶すぎるだろ。なんだよお金の本望って……
「その金は故郷のかあさんへの仕送りにするはずの金だったんだぞ……」
「はぁ? だからなによ! そんなのより、こっちの使い方の方がよっぽど有意義だわ!」
なん……だ、と……お前らみたいなやつに何がわかる……なぜおまえらみたいなやつに俺の母さんの命の価値を決められなくてはならないんだ……
そう考えていると無意識に体が動き、
バキッ!
「ガハッ!」
気づいたら俺はリナを殴っていた。リナは数メートル程飛ばされた。
「な、何するのよ!」
「そ、そうだ! ミラト! n……」
「うるせぇ……黙れ、屑どもが……」
俺は辺りに殺気をまき散らした。それも尋常じゃないほどの。
実際周りにいた駆け出しの冒険者たちはその殺気に充てられ倒れてしまった。
「ほら、来いよ……屑野郎の三下どもが……」
「な! なんだと! お、俺は」
「御託はいい、さっさとその腰にぶら下がっているお遊びのなまくらを向けて来い。それとも怖いか? 聞いてあきれるよ。こんなんでもSになれるんだな」
「お。おまえぇ! 聞いてやればぐちぐちと……所詮お前は後衛職だ! 俺にかなうはずがねえんだよ! おい! リナ! アナ! ファナ! こいつに二度と舐めた口がきけねぇようにしてやるぞ!」
「えぇ、そうね! 私を殴った罪は重いわよ!死にぞこない!」
「ほんと、粋がってさ、バカみたい。あんたは私には勝てないんだよーー」
「おい! ファナも早くこい!」
「わ、わたしは回復魔術師なので戦闘はあまり……」
と、言って辞退した。
しかし俺にはわかる。ファナは本職には及ばないとはいえ、体術はC程度はある。そしてファナには過剰回復というある意味攻撃魔法もあるし、何より魔力はほぼ満タンだ。しかし俺たちの中では魔力感知が出来るのは俺とファナと、メアだけなのであいつらにばれる恐れはない。
「チッ! 仕方ねえ邪魔だけはするんじゃね!」
と言いながら大降りに剣を振りかぶり、
「しんでもしらないぜぇええ!」
と叫びながら振り下ろそうとしたがその刃が俺に届くことは……なかった。
まだまだ続きます。ファナを仲間にするか見逃すかで悩んでます。