アレックス先生
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その後も武術稽古は続いた。なんでもアレックス先生は元騎士団団員らしく、勝てる人は全然いなかった。俺とリリーのみ、先生から勝ちをもぎ取り、シンラ、ガネス、シオルが引き分けとなった。
先生は先に武術稽古室から出ており、俺たちは床に座ったり、壁に寄りかかったりと思い思いの休憩をしながら話していた。
「はぁ……先生強すぎるっすよ……」
「さすが元軍人ってだけありましたわね……」
「あんな風に軽くあしらわれるなんて……ちょっとショックだわ」
「さすが先生」
「先生すごかった」
「先生もそうっすけど……ミラト君とリリーシャさん、本当にすごかったっすね」
「そ、そうかな?」
「そうっすよ! ねぇ、シオル君もそう思うっすよね?」
「う、うん……僕はまだあんな風に動けないや」
「いやいや、シオル君もあと一歩だったじゃないか」
「そ、そんなことないよ……先生にスキを作らすこともできなかったし、まだまだだよ」
「いや、我々からしたらそれでも十分だ」
「そうだ。 シオル君は自分を低く見積もりすぎだと思う」
「殿下……ガナスくん……」
「我々などしのぐだけで手一杯だったのだ」
「さすが元騎士団近衛魔法剣士部隊【王直属魔法剣士】の部隊長だっただけはある」
「「「「「「「「「へぇ~……………………えぇ?!」」」」」」」」」
「なんだミラト。 それにほかの皆も、知らなかったのか?」
「そんなん知るわけないだろ!」
「む、そうか」
「た、確か……王直属魔法剣士って、総合的な戦闘力は全騎士団中最高の部隊のところですわよね?」
「そうだな」
「先生やばい」
「強すぎる先生」
「強すぎるってもんじゃないっすよ……」
「そんなすごい人がなんで先生なんてやってるのかしら……」
「た、確かにそうだね……」
「ケガとかでしょうか?」
「いや、俺は別にケガなんかしてねーぞ?」
「え、なんで先生が?」
「お前らが授業終わったのに帰らないから様子を見に来たんだよ」
「お手数をおかけしました」
「気にしないでいい。 んで、俺が騎士団をやめた理由が知りたいんだっけ?」
「そうっす」
「簡単なことだ。 子供が生まれたからだよ」
「え?! 先生お嫁さんがいたんですか?!」
「そこかよ?!」
「すみません、何よりもそこが気になりました」
「あ、俺も気になったす!」
「すみません、わたくしもですわ」
「ったく、まぁ別にいいけどな……」
「それでお子さんが生まれたと聞きましたが」
「あぁ、そうだ。 子供が生まれたからな、命を懸けて戦って俺がもし死んでしまったら、嫁さんや子供に苦労させちまうと思ってな。 それを機に騎士団を辞めたんだよ」
「へぇ~」
「まぁ、シンラは知っていたみたいだがな」
「えぇ、父上からお聞きしてましたから」
「んじゃ、話は終わったからな。 お前らさっさと帰れよ」
「「「「「「「「「「はい!」」」」」」」」」」
「んじゃな~」
先生はそういうと手をひらひらさせながら武術稽古室から出ていった。
アレックス先生……既婚者でした……