閑話:一年の始まり
のろけ入ります
「お邪魔しま~す」
「失礼します」
俺達は年明けの今日、移り鏡でシンラとレイソルに新年の挨拶をしに行った。
「おぉ、よく来たな」
「あ、ミラトさんにリリーシャさん!」
「あれ、シンラに、レイソルもだけど、その服どうしたの?」
シンラもレイソルも俺が今まで見たことのない服を着ている。なんか、下半身はスカートみたいになってたりしてるし、不思議な感じがする。
「ん? あぁ! これか」
「これはきものという物らしいですよ」
「きもの?」
「あぁ、ミラトと会う前にな、ヒモト島国に行ったときに買ってみたんだよ」
「どうやらヒモト島国ではこれを普段着としているらしいのですが、これは年明け用に着る振袖というらしいですよ」
「へぇ~いいじゃん似合ってるよ」
「お二方、とてもお似合いですよ」
「そうか、ありがとうな」
「えへへ、ありがとうございます」
「…………」
「ミラト? どうした?」
「ん? あぁ、いや、その振袖ってやつ、もう一つあったりしない?」
「あるにはあるが……どうしたのだ?」
「いや、リリーに着てもらいたいなーって」
「え?!」
「なるほど」
「リリーシャさん美人だからきっと似合いますね」
「ということで、リリー」
「は、はい」
「着替えてきてね!」
そして、有無を言わさず、リリーはメイドさんたちに連れられてた。リリーが着替えている間に俺たちは雑談をしていた。
「にしても、ヒモト島国かぁ」
「ヒモト島国がどうしたのだ?」
「いやぁ、さらに興味がわいたなぁっと思って」
「そういえばミラトさんが持っている武器って」
「うん。 ヒモト島国で作られた刀って呼ばれるもので、刀の名前の名前のことを銘っていうらしいんだけど」
「ほう」
「銘が名前にぴったりで、雪月花というらしいよ」
「雪月花?!」
「う、うん……どうしたの?」
「い、いやすまない」
「別にいいけど……」
「ヒモト島国に寄ったときに聞いたのだが、今の技術では作ることが出来なくなった【神刀】と呼ばれるものがあるらしく、そのうちの一つに雪月花という文字があったので、つい……な」
「まぁ、神器だし、妥当なのかな?」
「神器をこんな軽いノリで言うなんて……お前ぐらいだぞ」
「あきらめましょう、父上」
「はぁ……そうだな」
「なんか……ごめんね?」
「あの……着替え終わりました……」
そんな風に雑談していると、着替え終わったリリーがおずおずとした様子で部屋に入ってきた。
「ど、どうですか……?」
そうリリーに聞かれるが、どうにも声が出ない。もう本当にかわいいのだ。柄こそないが、桃色と朱色を基調としたきものに、お団子のように丸められた銀髪がよく似合う。これはもう言葉を失うね。
「なんか言ってやれ、ミラト」
「あぁ……うん、可愛い、凄くかわいいよ」
「あ、ありがとうございます……」
それから数分間、何とも言えない空気がしていたが、レイソルが話題を変えてくれた。
「ところで今日は何しに来たんだ?」
「あぁ、そうだ……二人とも、新年あけましておめでとうございます。今年もどうぞ、よろしくお願いします」
「よろしくお願いいたします」
「なんだ、新年の挨拶か」
「そうそう」
「律儀にありがとうな」
「じゃあ俺たちほかによるとこあるから帰るけど……このきものどうすればいい?」
「「持って帰れ!」」
「お、おう……それじゃあ、ありがたくもらっていくね」
「ありがとうございます」
「それじゃあ、二人とも気を付けてな」
「あぁ、それじゃあな!」
俺達はシンラとレイソルと別れると、移り鏡をくぐり、ほかのお世話になった人たちに挨拶に向かった。
きものリリーを作者である自分も見たいです(笑)
きものはあえて、ひらがなにしています。どうかそのあたり、よろしくお願いします