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亜種

今回長めです

「ふぅ~……」

「お疲れっす!」

「あ、ありがとうレオ君」

「にしてもさすがの手際だな」

「ガナス君も十分すごかったよ」

「まだまだ改善の余地はあるがな」

「それにしてもなぜ魔法を使わなかったのですか?」

「ぼ、僕は魔法の詠唱に時間がかかっちゃうから……近距離戦では使えないんだ……」

「あら、そうでしたの」

「じゃあシオル君の当分の目標は魔法を近距離で打てるようになれるようにすることだね」

「うん」

「じゃあ、上に行こうか」


 俺達は三階層に戻ってきた。そして数分ほど階段に向かって歩いていくと、一体のスケルトンを見つけた。


「あ……」

「どうした? ミラト」

「いや、スケルトンがいたんだけど……」

「だけど……どうしたんすか?」

「多分……亜種」

「亜種?!」

「うん。 滅多に現れないんだけど……どうする?」

「もちろんやる」

「分かった。 亜種はランクが半ランクから二ランクほど上がることがほとんどなんだけど、スケルトンだし、そんな大差ないと思う」

「あぁ、分かった」


 そして数分後、少し広めの通路に一体のスケルトンがいた。しかしそのスケルトンは普通のスケルトンに比べて白味が強く、骨が綺麗だ。さらに少し刃こぼれしているサーベルを二本持っている。


「ホワイトスケルトンだね」

「サーベルを二本持ってるのは、少しめんどくさそうだな」

「では、行ってくる」

「気を付けてくださいっす! 殿下!」


 シンラは走り出すと、腰から雷の魔剣を抜きながらスケルトンに向かっていった。


「フッ!」


 シンラは両手持ちした雷の魔剣で斜めに振り下ろした。微弱な電気の刃がホワイトスケルトンに向かっていった。雷をくらったホワイトスケルトンは怯み、少し動きが鈍った。


「はぁぁ!」


 シンラは上から刀を渾身の力で振り下ろした。しかし……


 ガキン!


「な?!」


 ホワイトスケルトンは持っていたサーベルを交差に構え、シンラの剣を受け止めた。シンラも想定外のことで驚きを隠せていない。


「まさか受け止め……られる、なんてな……」

「殿下!」

「だめだよ、ガネス」

「だがミラト!」

「一度やると決めたんだ。 最後までその意思を尊重してあげようよ。 彼は自分の意思であの場にいるんだから」

「だ、だが……」

「それともシンラに恥をかかせたいの?」

「……分かった」


 渋々だがガネスは納得してくれたようだ。


「まだ終わらない! 【(ディス)……(チャージ)ィィィ!】」


 バチ……バチバチバチバチバチバチバチ……


 シンラの叫び声と共にシンラの持つ魔剣に魔力が集まり、それがシンラの周辺に放出された。


「こ、これは?!」

「な、何すかこれは?!」


 シンラの周りには高濃度に圧縮され、放出された青色の雷が周囲に漂っていた。うん、間違いない。シンラには才能がある。葬り去られた魔法(ロストマジック)の。


「はあぁぁぁぁあ!」


 シンラから放出される雷はホワイトスケルトンを侵食し、体を少しづつ灰に変化させていった。何とかホワイトスケルトンも抜け出そうとしているが、シンラの振り下ろしてる剣の対処で手一杯なようだ。

 そしてついに、ホワイトスケルトンは消滅した。魔石と一振りのサーベルを落とした。


「はぁ……はぁ……」


 シンラはまさに満身創痍といった様子だ。あれだけの魔力を放出したんだから、仕方のないのだろうけど。


「お疲れ、シンラ」

「あ、ありがとうございます。 ミラトさん」

「かっこよかったよ」

「そんな……」

「称賛は素直に受け取りなよ」

「そうですね……ありがとうございます」

「お疲れっす! 殿下!」

「うむ、ありがとう」

「ところでこれは何すか?」


 レオが床に落ちているサーベルを拾い上げた。


「それはドロップアイテムだね」

「ドロップアイテム?」

「うん。 素材とは違い、低確率で魔物が落としたりするものをドロップアイテムというんだ」

「へぇ~」

「それはたぶんあのスケルトンが使っていたサーベルだね」

「そうなんすか」

「だがあまり価値あるものには見えないな」

「鑑定しようか? シンラ」

「頼む」

「【映し鏡】」


 四角い鏡が生み出され、そこにサーベルの性能が映し出された。


「あーー……」

「どうしました?」

「これ、魔剣だ」

「魔剣?!」

「どうしたんすか、シオル君?」

「だって……だって!」

「魔剣を落とすのはね……最低でも討伐推奨レベルBからなんだよ」

「「「「「「えぇー?!」」」」」」

「そうなのか?」

「うん。 もしかしたらあれはただのホワイトスケルトンじゃなかったのかも」

「ミラト様。 恐らくですがホワイトスケルトンハイウォーリアーかと」

「多分そうだね」

「で、ミラト君。 それってどんな効果があるんすか?」

「これは【耐久力】と【斬撃微強化】だって」

「それは……すごいんすか?」

「まぁ、こんなもんじゃない?」

「やりましたね! 殿下!」

「あぁそうだな」

「とりあえず目標も達成したし、もう転移しようか」


 俺達は移り鏡でダンジョンの外まで転移した。俺たちを出迎えた日はもう赤く染まっていた。

ホワイトスケルトンハイウォーリアー


スケルトンウォーリアーの亜種の上位種

姿かたちは普通のスケルトンの亜種、ホワイトスケルトンと特にこれといった変化はない。魔力もスケルトンは種族的に少ないため、魔力感知で見分けるのは極めて困難(一部のスケルトンは例外)

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