それぞれのバトルスタイル2
更新遅くなりました!
「ガネス、いたぞ」
「あぁ」
数メートルほど先に一体のスケルトンがいる。右手にボロボロの手斧、左手には古びた木製の小楯を持っている。まだこちらに気づいた様子はない。
「では、行ってくる!」
そういってガネスは飛び出していった。左手で腰からレイピアを抜くと、勢いをそのまま生かし、手斧の持ち手を突いた。的確に柄をつかれた手斧は弧を描きながら地面に刺さった。
「そして……炎よ、一陣の刃となれ【炎刃】
ザシュ!
ガネスの右手から放たれた炎の刃が、スケルトンの胸にある魔石を真っ二つにした。
「ふぅ……」
「お疲れ、ガネス」
「ガネス君って炎刃使えたんすね!」
「あぁ。 と言っても最近使えるようになったから、射程はよくて一メートルぐらいしかないけどな」
「だから入試では使わなかったんすね」
「そうだな。 もう少し射程を伸ばすこと、詠唱の省略、ひいては無詠唱が目標だ」
「うん、具体的な目標があっていいね」
「ありがとうミラト」
「次はミラね」
「その次ミナね」
「分かった分かった」
俺達はまた進みだした。そのあとは接敵することなく、四階層に下ることができた。
「ここからは複数体出てくることがあるから、気を付けてね皆」
「ミラトはここに来たことがあるのか?」
「いや、皆を待っている間にステアさんに情報を聞いた」
「なるほど」
「情報はあればあるほどいいからね」
「ミラト様……います」
「うん、分かっているよリリー。 皆、そこの角を曲がった先にスケルトンが二体いるよ」
「ミラとミナで行く」
「ミラとミナが戦う」
「うん、任せるよ」
俺達が角を曲がるとそこには、ボロボロの剣を右手に持ったスケルトンと、左手にボロボロに風化した手斧を持ったスケルトンがいた。スケルトン二体は俺たちを見つけると一目散に向かってきた。
「行くよミナ」
「任せてミラ」
二人はそう言って飛び出した。先に行動を起こしたのはミナだった。
「氷よ捕らえろ【氷縛】」
シュミナの声と共に、足元から氷がスケルトンたちに向かっていき、そのままスケルトンたちのすね辺りまで凍らした。動きを封じられたスケルトンたちは何とか逃げ出そうと藻掻いているが、なかなか抜け出せていない。
「ありがとうミナ」
「いつものこと」
動きの止められた二体のスケルトンにミラは近づくと、逆手持ちした二本のナイフでそれぞれの武器の持っている方の手を切り落とした。そしてワンテンポ遅れてミナがスケルトンに近づいた。
「貫け【氷の矢】」
氷で出来た矢が、斧を持っていた方のスケルトンの魔石にあたり、凍らせた。魔石が凍ったことによりスケルトンは倒れた。
「貫け【光の矢】」
ミナに残った手で襲い掛かろうとしていたスケルトンを、ミラの魔法が打ち抜いた。
「ミナ、油断しないの」
「ミラが倒してくれるって信じてたから」
「もう……」
「お二人ともそのあたりにしては?」
「はい」
「分かった」
「にしても二人の連携はすごかったね。 ね、シオル?」
「う、うん。 下手なパーティより、よっぽどいい連携が取れてたと思うよ」
「ミナが考えてることぐらいわかる」
「ミラがどう動くか想像がつく」
「双子ならではの連携っすね!」
「少しうらやましいわね」
「次はわたくしですか?」
「うん、そのつもり」
「わかりましたわ」
レナがどんな戦い方するのか一番想像つかないんだよなぁ……。そんなことを考えながら探索していき、数分ほど探索していると、スケルトンを発見した。
ミラのナイフ
刃渡り三十~四十ほど。
柄の部分が白く、刃は白と灰色を混ぜたような色(雪月花ほど白くない)
刃の部分に魔物の牙を砕いたものが混ざっており、そのような色になっている。
鉄製に比べてほんの少し切れ味が上がっている。
ミラのナイフに使われている魔物の牙は討伐推奨レベルCのファングウルフの牙が使われている。