閑話:ハロウィンダンジョン
少し長めです。
今日は学院が休みということで、リリーと二人でダンジョンに向かうことにした。ステアさん曰く、最近見つかったダンジョンがあり、そこの調査をしてほしいらしい。特にやることもなかった俺たちはそれを快く了承、さっそく向かっている最中だ。
「どんなダンジョンなんでしょうね?」
「そうだね」
「学院が始まるまでに終わりますよね?」
「最悪移り鏡を使えばいいし、そんな身構えなくてもいいんじゃないかな」
「そうですね」
「お、ここかな?」
「そうみたいですね」
俺達が向かった先は、山の麓の廃村だった。数年前まで人がいたのか、そこまでひどく荒れている様子はなかった。
「情報によると、この村の一番立派な建物の地下に見つかったらしい」
「というか、よく見つけましたね」
「ほんとにね」
このダンジョンを見つけた冒険者は依頼を終えて帰る途中でこの村を見つけ、野宿しようとし、一番立派な家に入ると、床に大きな穴が開いており、その穴を降りたところ、魔物を発見したので急いで帰ってきて報告したそうだ。
「一番大きな家は……ここかな」
俺たちの目の前にはほかの建物に比べて二回りほど大きな家があった。ところどころ壁に穴などがあるが、野宿をするよりかは確かに良さそうだ。
「行こうかリリー」
「はい、ミラト様」
俺達は家に入り、あからさまに空いている穴の中に降りていった。
「なんか……異様な空間ですね」
「た、確かに」
穴を降りてすぐに目に映ったのは辺り一面オレンジ色をした空間だった。壁には蝙蝠を模したろうそくや、スケルトンのような木など、まさに異様とあらわすしかないような空間が広がっていた。
「と、とりあえず進もうか。 警戒は怠らないように」
「はい」
俺達はいつでも武器を抜けるように柄に手を当てながら進んだ。
「リリー、魔物だ」
数分ほど探索していると一体のスケルトンがいた。オレンジ色をしたスケルトンだが。
「未知のスケルトンだ。 映し鏡でいったん様子見してみる」
「はい、わかりました」
俺は角からばれぬように映し鏡を使用した。映し鏡にはしっかりと異様なスケルトンの情報が映されていた。
「は、はろ……はろうぃんスケルトン? なんだこいつ」
「はろうぃんスケルトンですか?」
「うん、でも見る限り変わっているのは色だけみたいだし、倒しちゃうか」
「では、私が」
「任せるよ」
「はい」
リリーが飛び出し、斬りかかると、いとも簡単にスケルトンは倒された。
「え?」
「えぇ?」
あまりにもあっけなくて変な声が出てしまった。あ、あまりにも弱すぎない?
「お、おつかれ」
「あ、はい」
「さ、先に進もうか」
「で、ですね」
俺達は魔石を拾い、さらに先に進むことにした。
「ここが恐らくボスだね」
「ですね」
俺たちの前にはすごい大きな扉があった。まさにここに自分がいると強調するかのように、周りのオレンジに壁に見合わない黒塗りの重工の扉があった。
「なんかここに来るまであんまり強い敵がいなかったから期待はしてないけどね」
「はろうぃんスケルトンとかはろうぃん蝙蝠とかでしたっけ?」
「色が違うだけのやつらばっかだったけどね」
「ですね……」
「まぁ、行こうか」
俺が扉を開けると、中には一匹の魔物がいた。黒いローブを着て、フヨフヨと浮いており、両手で大きな大きな鎌を持っている。そして何より顔がカボチャだ。三角の目をしており、ギザギザした目をしている。
「ジャックオーランタンっというのか」
「ケケケケケケケケケケ」
「まぁ、倒すけど」
「ケケ?!」
「ごめんね、なんか……【乱れ斬り】」
雪月花で細切れにした。なんかもう疲れたよ。壁の色が明るくて目がちかちかするし。
「お、なんか落ちた」
俺は倒したジャックオーランタンから落ちた鎌を拾った。
「なんですかそれ?」
「えっと~【逢魔が時】っていうらしい。 効果はハロウィン系の魔物を呼び出すだって」
「微妙ですね……」
「微妙だね」
「……」
「帰ろうか」
「そうですね……」
なんか、これじゃない感を感じながら俺たちは帰ることとした。
本編とは接点はないです。時系列的には現在の骸骨坑道が終わった辺りとなります。
少し遅れましたが見逃してくださると幸いです。