得意武器
今回は少し長めです
「つ、疲れたぁ~」
「つ、疲れましたねぇ……」
俺とリリーは鏡の部屋に帰ってきてすぐに、そんなことを声に出して言ってしまった。なんせ八人からの質問が、止めどなく繰り出されたのだ。気が付くともう日が暮れ始めていたので、続きは明日ということで何とか終わらせた。
「用事を早めに済ませて、今日はもう寝ようかリリー」
「そうですね」
俺達は簡単に作った夜ご飯を食べ、お風呂を済ませると、もう寝ることにした。
「お休み。 リリー」
「お休みなさいませ、ミラト様」
リリーがベッドの近くにあった照明の魔道具を消すと、部屋は黒に塗りつぶされた。さて、明日はどうなるのかな。後リリー、尻尾振ると手にあたってくすぐったいんだけど……
「おはようございます。 ミラト様」
「ん、おはようリリー」
次の日、俺たちは昨日の疲れもあってか、いつもよりほんの少し遅めに目覚めた。昨日のように制服に着替え、朝食をとり、軽く鍛錬をしてから移り鏡で教室に転移した。
「お、おはよう」
「おはようございます」
「ん? あぁ、ミラトにリリーシャか。 おはよう」
「あぁ、おはようミラト、リリーシャ殿」
「おはようですわ、お二人さん」
「おはよう」
「おはよう」
「お、おはよう二人とも」
今教室にいたのは、シンラ、ガネス、レナ、シュミラにシュミナ、シオルだ。
「あれ、みんな集まって何の話してたの?」
「それぞれの得意武器についてだな」
あぁ、この学校、王立騎士養成学院ほどではないが、近距離武器などを扱う授業もあるもんな。特に魔法剣士を目指す人などはどちらもできないとだめだからな。
「ふ~ん、それで、みんなは?」
「私は片手剣だな」
「私はレイピアですかね」
「わたくしはシャムシールですわ」
「ミラはナイフの二刀流」
「ミナは短剣の二刀流」
「ぼ、僕はブロードソードに短剣だよ」
シンラの片手剣もガナスのレイピアもミラのナイフにミナの短剣、シオルのブロードソード&短剣はわかるけど、レナのシャムシールって! 癖強いなぁ……俺も人のこと言えないけど。
「二人は何なんだ?」
「私は双剣です」
そういいながらリリーは持っている【対の双剣 連】と【対の双剣 撃】を見せた。
「これはかなりの業者だな……」
「ところでミラトは?」
「まぁ、全部使えるけど……まず刀でしょ?」
俺は腰にある刀を近くに机の上に置いた。
「次は確か大鎌でしょ?」
机の上に漆黒の大鎌が現れた。
「あとはレイピアに……」
机の上にプラチナブロンドで出来たレイピアが現れた。
「あとはブーメランに弓かな」
机の上に二枚ばねの緋色のブーメランに翡翠色の弓、無影弓がおかれた。
「こ、これは!」
「? どうしたのガネス」
「このレイピアもしかして……【イモートルレイピア】か?!」
「それは何なのだ、ガナスよ」
「はい、殿下。 このレイピアには【不壊】の効果があるのです!」
「それはまた……」
「ありがとうミラト。 返そう」
「別に上げてもいいけど……」
「いや、せめて買い取らせてくれ。 貴族のプライドというものだ」
「じゃあ、待ってるね」
これよりすごいレイピアがあることは黙っていよう。
「お、みんな、何の話してるんだ?」
「アリーシアか。 それぞれの得意な武器について話していたところだ」
「ふ~ん。 私は双頭槍だよ」
「アリーシアも個性的だね」
「あれ、みんな、なんで集まってるんすか?」
「レオか。 何、得意な武器の話をしていたんだ」
「なるほど~。 あ、ちなみに俺は両刃の片手斧っす」
「個性的なのですね」
「いや、レナが言えたことじゃないだろ」
「「「「「「ミラトには言われたくない」」」」」」
「あ、あはは……」
返す言葉がありません……
「お前ら―、席につけ―」
アレックス先生が教室に入ってきたことにより、この話は一時中断となった。
今回、いくつかミラトの武器が出てきましたが名前が出たレイピアのみ性能公開です。
今後出たときにそのつど公開してきます。
イモートルレイピア
名の通り、【不壊】の効果を持つレイピア。
派手な装飾こそないけれど見る人が見ればわかる超一級品。
どんな衝撃を受けても、どんな固い毛皮でも壊れないため、レイピア使いの憧れの的の一つである。