悪戯
少し視点変更があります
どうやらあの老人がこの学校の校長らしい。確かに周りの教員に比べて魔力量が多い。間違いなく高位の魔術師だろう。
そう思っていると、入学式は終わりに近づいてきたようだ。
「入学試験序列、首席、シンファルラ=フォン=ネイシス!」
「はい」
いきなりシンラが呼ばれ、ステージに向かって歩いて行った。恐らくだが、入学式のあいさつだろう。シンラは王族ということもあってか、焦るそぶりは全くと言っていいほど見せていない。とても堂々としており、こんな様子を見ると改めて王族ってすごいと感じる。
「ご紹介いただきました。 入学試験序列首席のシンファルラ=フォン=ネイシスです。 この学園には種族や身分を問わず、将来有望な者たちのみが集まっていると考えています。 時に悩み、時に苦しみ、いつか意見が対立することもあるでしょう。 それでも私たちは互いを尊重し、切磋琢磨していこうと考えています。そして先輩方や教員の皆様方。 この学園については知らないことばかりですので、ご指導のほどよろしくお願いします。」
そう言い終わるとシンラは静かにお辞儀をした。それに敬意を示すかのように、たくさんの拍手が起きた。シンラが自分の席に着くまで、拍手は鳴りやまなかった。
「これにて王立魔導学園入学式を終わります」
その言葉が響き渡ると、各々が自分の割り振られた教室に向かい、歩き出した。俺たちも移動しようとすると、シンラに声をかけられた。周りを気にしてか、小声だったので小声で返した。
「ミラトさん。 お二人は一度来客室に行ってください」
「わかった。 で、どこにあるんだ?」
「それに関しては私たちのクラスの担任の方が案内してくださいますのでご心配なく」
「わかった、ありがとう」
そういって別れると、一人の男性が近づいてきた。歳は三十ほどだろうか。顎髭を生やし、縦ストライプの柄をしたワイシャツを着ている。
「あー、初めまして。 君たちの担任のアレックスだ。 一度君たちを来客室に案内するから、ついてきてくれ」
「わかりました、よろしくお願いします」
俺達はアレックスと名乗った教員についていき、一度、来客室で待機した。
~シンファルラ視点~
入学式が終わり、僕たちは教室に向かった。僕たちのクラスはSクラスと呼ばれるところで、入学試験の上位の人たちが集められている。
僕らは指定された席に着くと、すぐに担任の教員が現れた。
「あー、初めまして。 このSクラスの担任になったアレックスだ。卒業までこのクラスを見るが、知っての通りこの学園は進級するごとにテスト行い、序列が変更することがある。 同じメンツで卒業まで迎えれるように日々努力するように」
「先生、一つ質問です」
「どうした?」
「二席ほど空席がありますがこれはなぜですか?」
事情を知っている僕は思わずにやけかけた。幸い、誰にも見られてないようだ。父上も悪戯が好きだなぁ。
先生もニヤリとすると、質問した生徒含め、全体に話しかけた。
「今からその空席にあたるこのクラスの生徒を呼ぶ。 二人とも入ってくれ」
その言葉の後に教室のドアが開いた。
~ミラト視点~
十数分後、俺たちは教室の外にいた。なんでもSクラスを驚かせたいとか。
「二人とも入ってくれ」
その声の後に俺たちは教室に入った。クラスメートたちの視線を俺たちは一斉に受けた。
「二人とも、自己紹介を」
「まずは私から。 皆さん初めまして。 私は銀狼族、リリーシャと申します。 これからよろしくお願いします」
「次、ミラトだな」
「皆さん初めまして。 ミラト=スぺクルムです。 仲良くしてくれると嬉しいです。 それと冒険者もしています」
俺の自己紹介の後に、アレックスは悪戯がうまくいった子供のように笑うと、
「お前ら、運がよかったな。 ミラトは誰もが知っているあの四皇帝の一人、【鏡帝】だぞ」
といった。数秒の沈黙の後、
「「「「「「「ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえええ?!?!?!」」」」」」」
シンラを除くクラスメート全員の驚愕の声が響き渡った。
少し長めとなりましたすみません。(*- -)(*_ _)ペコリ