記憶と継承
少し短めとなります。ごめんなさい。
「なんだこれは? 俺はこのスキルは手に入れたばかりのはずだ。待てよ......そもそも職業は進化したばかりのはずなのに職業熟練度が999なんてこともおかしい......いったい何が起こているんだ?」
と、訳の分からないことに混乱していると記憶の鏡が勝手に発動した。すると同時に俺の持っていた紫に輝く宝玉もつられるように浮かびだした。そして俺の胸の高さほどで止まると紫色の光を発した。
「一体、何が起きてんだよ!」
その光はこの不思議な部屋をほんの一瞬だけ包み込むとそこには
「ローブの......人......」
そこには先ほどまで椅子に座り、宝玉を抱えていたローブの人がいた。
《やあ、初めまして。君が新しい【鏡魔術師】で、僕の継承者だね》
と、話しかけてきた。
実体はないが妙に迫力のようなものを身に纏っていた。
「あ、あなたは......一体......だ、誰なんですか......?」
《あれ? 僕のこと知らない? それなりに有名なはずなんだけどなぁ......まあいいか。改めて......コホン、初めまして! 僕の名前はメシア=フォン=ネイシス=スぺクルム。よろしくね!》
「ネイ......シスって、あの! ヒューマン唯一の大国の、あのネイシスですか?!」
《大国かどうか知らないけどたぶんそれだね。》
驚きだ。こんなところにあの大国を名乗ることを許された国、ネイシスの建国者がいるなんて......
《それにしてもきみはいい。センスの塊だ。君なら安心して、僕の全ての力を与えても力にのまれずに済みそうだ》
「ま、待ってください! ち、力って...それにお、俺のことを継承者と呼んでましたけど、いったい何のことなんですか?!」
《鏡魔術師は普通の進化の宝玉では進化はできない》
進化の宝玉はどの国のギルドにもある宝玉で職業熟練度がマックスになった後に触れると新たな職業へと進化できる宝玉のことだ。決まって緑色をしている。
だが進化の宝玉で進化できないなんて話聞いたことがない......
《その顔は知らなかったでしょ? まぁしょうがないよ。話を戻すと鏡魔術師になるには【継承の宝玉】と呼ばれるものがいるんだ。ついさっき君が触れたのが継承の宝玉だったのさ》
だから俺は鏡魔術師になれたのか。でもそれじゃあ......
《継承の宝玉には不思議な力があるんだ。それは職業熟練度の引継ぎとスキルの引継ぎ。そして、継承のときにのみ宝玉に込められた魂を一度だけ呼び戻す。それが継承の宝玉の力で、君の悩みの答えだよ》
と、彼は答えた。
「そう、だったの、か......」
《君は大変な思いをしたんだよね。辛かったよね。でも、たった今きみの努力は実ったんだ》
「なん、で、そのことを......」
《継承の際、君の記憶を覗かせてもらったのさ。君はどん底に叩き落されても生きようとした。だから僕は君に継承の証である【スぺクルム】の名前を譲渡したのさ。僕は君には報われてほしくなったから》
「あ......あぁ.........あああぁぁぁぁぁ!!!!」
自然と涙があふれてきた。今までこらえてきた涙があふれだした。
辛かった。挫けそうだった。もう何もかも終わりだと思った。
《今は泣いていい......存分に泣きな》
そういった彼の顔は、フードで隠れて見えなかったがとても優しく見えた気がした。
星五つおねがいします!
こんなキャラいない?
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