地底湖
今回もS級が出てきます
「やべぇ……どうしよう……」
俺の目の前には振りかぶったままのリザードマンキングの氷像、床から壁、天井までが見える範囲まで全てが凍っている。おかしいなぁ、メシアさんの話では割とよく見る魔法って書いてあったけどなぁ。やはり、過去と今では感覚が違ったりするのか。
「はぁ~すごいです……」
「おいおい、流石にこれはやりすぎじゃないのか?」
リリーはなんか感心してるし、メネリアスはまさに開いた口が塞がらないといった様子だ。
とりあえず氷像となったリザードマンキングをしまい、氷を溶かすか。
「今から、氷を溶かすからもう少し下がっててくれる?」
「わ、分かった……」
まぁ、元々後ろにいたけど忠告は大事だからね。
「【羽ばたく不死鳥】」
オレンジや金色、赤などの炎によって作られた、炎の鳥、不死鳥。その炎は燃やし尽くし、再生を司る。
不死鳥が通ると、氷は解け、破壊された床も元通りとなった。
「キレイ……」
「おいおい……こりゃまたえらい魔法を使ったな……」
「まぁ、修復もできたしいいじゃないか」
「そうだけどよ~」
「ほら、進もうぜ」
「はい」
「俺はもう驚かないぞ……」
俺たちは最後の階層に向かって進んでいった。
「ここが最後か……」
降りたとたんに目に映ったのはとてもでかい地底湖だった。
大きさは港町のダツミの街ぐらいなら入りそうなほどはある。深さはよくわからないが、奥底の方で蒼光石が光っているが、深すぎるのか、ぼんやりとしか見えない。
「にしてもやはり深いところは蒼光石の純度は高いんだな」
「そうですね、入り口に比べて明るさが段違いですね」
「あぁ、あとで採掘しようか」
「そうですね」
「お、おい!何か近づいてくるぞ!」
地底の方から、黒い魚影が浮かび上がってきた。それも尋常じゃないほどの速さで。
「離れろ!」
俺は二人に命令した。なぜなら、魔力の反応が二つあったからだ。
俺たちが避難した直後、地底湖の中から、大きさ数十メートルはするであろう巨大魚が出てきた。
農民の家なら、一撃で吹き飛ばせるほど大きなひれに、きらめくその鱗は、何もせずとも大砲程度では傷つかなさそうな天然の鎧。そして何より、口に収まりきってないその牙は四、五メートルは優に超えている。
「あいつが大牙魚だ! よし、あいつを倒しさえすれば……」
「待て! まだなんかいる!」
俺はメネリアスの服をあからさまに引っ張た。
そして地底湖のさらに深くから何かが伸びてきた。
そして伸びたものは大牙魚の背びれから食らいつくと、体半分ほどまで飲み込むと、かみ砕いた。
ビシャ……ビシャビシャ…………
赤黒い鮮血が地底湖や周りに飛び散った。美しい水が血に染まっていった。残された大牙魚の半身はかみ砕かれた反動なのか、陸地に上がっていた。
「なんだよ……あれは……」
目の前でいともたやすくかみ砕かれた光景を見たメネリアスがつぶやいていた。
「あれは……討伐推奨レベルSの、破水大蛇だ」
地底湖からあらわになったその頭がこちらを向いて、俺たちをとらえた。
蒼い瞳をした双眸で。
破水大蛇という水に関する討伐推奨レベルSの魔物です。
この二章か、三章の間に
炎、水、風、地
の討伐推奨レベルSの魔物を一体は必ず出したいと思います!