リザードマンキング
もう少しでダンジョンは攻略します
「よし、次はこの道を左だ」
「にしてもかなり入り曲がった道だな」
「そうだな。 でもこの辺はリザードマンとか、魚人とかが多いからそこまで気にしなくてもいいけどな」
「ま、でも油断はしちゃだめだけどな」
「ま、そういうことだ。 そろそろ一個下の階に行くぞ」
「わかった」
俺たちはメネリアスの案内もあってか、スムーズに、そして確実に攻略を進めていった。
「ふぅ、流石に数が多くなってきたな」
最後の一匹だったリザードマンを切り伏せて、俺は刀をしまった。それとほぼ同時ぐらいにリリーの方も倒し終わったようだ。俺たちの周りには四十体ほどの死体が転がっている。特にほしい素材はないので、燃やしてもらっている。
「なんか……」
「ん? どうした?」
「いや、やっぱすごいなお前ら。 俺らのパーティーでもこんな早くは倒せないぞ」
「そうなのか? 俺は魔法は使ってないから、魔法を使えたらもっと早く終わるぞ。 次からそうしようか?」
「俺は別にいいが、魔力とかは平気なのか?」
「全然平気だよ」
「すげーな」
「すごいでしょう!私のご主人様は!」
「いや、リリーちゃんも十分やばいよ」
「そうですか?」
ダンジョン攻略とは思えないほんわかとした会話をしていたが、その空気を忌み嫌うかのようにそいつは現れた。
「【魔法反射!】」
俺は鏡を作り出した。それを見てリリーシャは戦闘態勢へ切り替えたが、メネリアスは気づいていなかった。
そして、少し間が空き、水がメネリアスをめがけて、飛んできた。しかし、その水は俺の魔法によって、跳ね返された。
「うわぁ! なんだ?!」
どうやらさすがに気が付いたようだ。今はブロードソードを抜いて、辺りを警戒している。
そして水を放った犯人が現れた。
「ギシャアァァァァァァァアア!」
「でかいな」
「なんだ?!」
それは二メートルは優に超える鉈。そしてその鉈を片手で軽々と持ち上げる巨大な腕。その尾は大木をもへし折るだろう。その鱗は生半可な攻撃は通さないはずだ。
そう、目の前にいるのは討伐推奨レベルS-に分類される、【リザードマンキング】だ。
「ギシャアァァァァァァァアア!」
そう叫んだかと思うと、大振りで鉈を振り下ろしてきた。
ズウゥゥン……
まさに斬るというより潰す。衝撃で床が割れている。俺たちはみな、逃げ出せたが、それでも伝わってくる衝撃だけで吹き飛ばされそうになる。
「こいつはやばいぞ!」
「確かにやばいな‥‥‥」
俺は決めた。魔法を使ってこいつを倒す。
「メネリアス、リリー。 魔法を使う! 少しの間だけ、こらえてくれるか?」
「承知しました!」
「それぐらいなら何とかできるぜ」
二人とも頼もしい返事をしてくれた。なら、俺は魔力を集めることに集中しよう。
(相変わらず……俺はメシアさんにお世話になりっぱなしだな)
《いいじゃいか。 大事なことは力にのまれないことだろ》
そんな声が聞こえた気がした。不意に俺は微笑んでしまった。
(そうですね、メシアさん)
「二人ともありがとう! 準備はできた!」
「了解です!」
「オッケーだ」
二人はバックステップで距離をとり、俺の後ろまで下がった。
「さぁ、いけ! 氷魔法【絶対零度】」
その瞬間、俺の目には凍てついた世界が広がった。
絶対零度はかなり有名ですよね。
使ってみたかったんです(笑)