処置
今回は割とほのぼの回です
「まぁ、無影弓の事は今は置いといて……あなたたちでしょ? 一階で揉めたの」
「も……めた?」
「まぁ……蹂躙、かしらね……」
「蹂躙でした?」
「じゃあ何なのよ……」
「準備運動?」
「コバエ処理……ですかね」
「ミラト君の準備運動もあれだけど……リリーシャちゃんは辛辣すぎないかしら?」
「と、言われても……そうとしか……」
「まぁまぁ、それで、それがどうしたの?」
「彼らの処置についてなんだけど……一応伝えとこうと思ってね」
「あぁ、そう」
「彼ら【竜の瞳】は、日ごろの素行にも問題があって、今回の行為で彼らのギルドカードを剥奪、そして一年間のギルドカードの発行を無効としたわ」
「ギルドカードの発行を無効?」
「私たちギルドはギルドカードを作る際に血液をもらったの覚えてる? あれは血液登録と魔力の登録をしてて、同じ波長の魔力が提出された場合、無効にするの」
「ふぅん……」
「あ、でも……」
「どうしたの? リリーシャちゃん」
「代理人を立てた場合は……」
「それについては、もちろん対策済みよ。 顔認証の魔道具が受付のところにあるの。 それで顔の形も把握しているの。 それに反応するかどうかも見るのよ」
「へぇ~すごいな」
「もちろんほかにもあるわよ」
「ギルドは出し抜けないな」
「フフッ、お褒めいただき光栄よ」
ステルクロニアはそう妖しく笑った。
「そうだ、ステアさん」
「何かしら」
「なんか依頼はない?」
「依頼?」
「なんか受けようかなぁ、って来たし。 なんかよさそうなのない?」
「そうね……なら、これなんてどうかしら?」
ステルクロニアが持ってきた依頼には
依頼内容:ダンジョンの攻略
依頼主:ネイシス王族
ダンジョンランク:A
ダンジョン名:水没の湖
追記:確認されたモンスターの多くが水魔法を使用する。
確認されたボスモンスターは大牙魚
と、書いてあった。うん、いい感じだろう。距離もそこまで遠くはないし。
「リリー。 これはなかなかいいと思うけど、どう思う?」
「いいですね。 白銀魔法が使えたらいいのですが……」
「……え、白銀魔法?」
「あ、ステアさんには言ってなかったっけ?リリーは称号で【銀姫】を持っているから葬り去られた魔法の白銀魔法が使えるんだよ」
「ミラト様にはかないませんけど……」
「え?! ミラト君もつかえるの?!」
「まぁ、先代鏡魔術師さんの能力を引き継いだだけなんだけどね」
「それでも十分すごいわよ……」
「まぁ、あとは重力魔法とか黄金魔法とかも使えるけどね」
「ほんとに……規格外ね……これから頭痛くなりそうね」
「え、なんで?」
「階級EXの冒険者って自覚してる? そんなあなたを一般の受付嬢には荷が重すぎるわよ。 だから私がこれから専属につくことになったのよ」
「へぇ~まぁ、よろしく」
「よろしくお願いします、ステアさん」
「えぇ、よろしく」
「じゃあ俺は水没の湖に向かうよ」
「えぇ、行ってらっしゃい」
俺たちはそう言葉を告げて、ギルドを出た。
ミラトとリリーとステアは基本的に親しい相手と同じ会話の仕方をします。