ステルクロニアと名弓
二話目の更新!
「あら、レントルのとこから来たんですね」
「レントルの爺さんを知っているんですか?」
「えぇ、元々同じ【幻想】のメンバーだったので」
「へぇ、そうなんだ」
「まぁ昔話は後にして、この移転届を受理してきますね!」
そして、奥に小走りで消えていった。
「なんか、元気な人だね……リリー」
「そうですね……」
それが俺たち二人がステルクロニアさんに対して抱いた第一印象だった。
「はい、これで移転届の受理は完了です」
「あの……」
「はい! な、何ですか?」
と、局部を隠しながら聞いてきた。心なしかもじもじしているが、そんなつもりはない。とても魅力的な女性であることは間違いないが……
「あの……敬語をやめて、いつも通りにしてくれないかなぁ……と」
「は、はぁ……で、ですが村の伝統なので何とも……」
「村の伝統?」
「私たちの村では、伝説職業の方々は世界樹の導きによって現れるとされております。 私たちエルフは世界樹を信仰しており、その世界樹の導きによって現れる伝説職業の方々も信仰対象になるので」
「な、なるほど?」
「リリー納得しないで。 どうにか辞めてもらえません? むず痒くて仕方ないんで」
「…………分かったわ」
「ごめんね、無理強いするような形になって」
「まぁ、気にしないでいいわ」
「ところで……【幻想】にいたんだろ? どんな職業だったんだ?」
「そうね、私の職業は狙撃手よ」
「狙撃手か。 確か狩人よりも遠距離狙撃に特化した職業だったけ?」
「えぇ、と言っても私は魔法の狙撃も得意だけどね」
「最長射程は?」
「今までで一番長かったのは十五キロ先の的を撃ちぬいたわね」
「すごいな……」
「そんな……貴方に比べればまだまだよ」
「いや、そもそも俺は狙撃はしたことないしな……」
「でもミラト様、ネイシスの王都に来るまでの間に弓をお使いになられていましたよね?」
リリーの発言で思い出した。
「あぁ、【無影弓】のこと?」
「たぶんそれですね」
「む、無影弓……ですって……?」
「あぁ、あれを使った時は十キロとかじゃなかったかな? それでもまだまだ余裕はあったけどね」
「あ、あの……」
「まぁ、本職じゃないから無理かもしれないけどね」
「きっとできると思いますよ!」
「あ、あの!」
「ん? ステルクロニアさん、どうしました?」
「ステアでいいですよ! それよりさっき、無影弓と言いましたね!」
「うん」
「無影弓は弓使いなら誰しもが憧れる名弓なのよ!」
「へぇ~」
「反応うすっ!?」
と、まぁ、こんな感じでギルドマスターとの会話は弾んでいった。
今回も武器詳細
無影弓
普通の弓より一回りほど大きい翡翠色の弓
弦がないのが特徴
魔力を通すことで弦や、属性の矢などを生み出せる
そして、名の通り、魔力を通すと弓とその持ち主はステルス状態になる。魔力を遮断することで解除する。
命中精度もすさまじく、過去にはこの弓で百キロ先の木の葉を数十枚すべて打ち抜いたこともあるらしい。